更新日:2023年07月18日 19:13
エンタメ

経験者が語る「ジュニアアイドル業界の闇」。“気の弱い子”が付け込まれる現場も

限界まで神経を尖らせた衣装合わせ

渡辺ありさ

当時の筆者。着たくない衣装は意地でも着なかった

まずは撮影前に衣装合わせを行うのだが、衣装合わせではメーカー側からやや過激な水着も提案される。もちろんマネージャーも立ち合い、メーカーの提案を断りもするのだが、モノによっては「これくらいなら別にいいんじゃない?」とマネージャーが一緒になって勧めてくることもある。 気の弱い子だったら周りの空気に流されて、嫌でも首を縦に振ってしまうかもしれない。というか、大人たちに堂々と反論できる女子中高生のほうが少ないだろう。 でも私は、嫌な衣装は全て却下した。それも「恥ずかしいから、セクシーだから嫌」と言うのはなんとなく癪だったので、「こんな紐同然の水着、私みたいな貧乳が着たら面白映像になっちゃうと思うんでやめましょうよ」などと茶化しながら断った。

今思えば“異常な現場”だった

覚悟を決めてこの仕事を始めたので、セクシーな衣装ごときで日和る奴だとは思われたくなかった。それに、ちょっとでも弱気な子どもだと思われたら、逆に向こうの要求がエスカレートしていく可能性もあると感じていたので、どうにかして大人たちと対等に渡り歩かなければいけないと常に気を張っていた。 17歳の子どもがここまで神経を尖らせなくてはならない現場なんて、今思えば異常である。でも、すべては「芸能界で成功したい」という、ただそれだけの思いが当時の自分を突き動かしていた。
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「感じてる表情」を求められることも
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1994年生まれ。フリーランスライター兼タレント。ミス東スポ2022グランプリ受賞。東京スポーツ、週刊プレイボーイ、MEN'S NON-NO WEB、bizSPA!フレッシュなどで執筆。隔月刊漫画雑誌「グランドジャンプめちゃ」にて連載中の漫画「スワイプ」の原作も務める

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