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標高2000メートル超“天空の湖”で浮遊体験も!南米チリのアタカマ砂漠がスゴすぎる

天空の「間欠泉」

間欠泉での日の出

間欠泉での日の出

 アタカマ砂漠で圧倒されるのはその「夜空の広さ」だけではありません。なんとここには標高4,500メートルという世界最高峰の間欠泉(一定周期で水蒸気や熱湯を噴出する温泉)も。日が昇る頃に間欠泉を訪れると、70以上という地面の穴から熱湯が吹き出し、水蒸気が朝霧と共に幻想的な景色を作り出します。  到着時には地面が凍っていたのですが、噴き出る熱湯でどんどん溶けていきます。そんな摩訶不思議な光景を眺めながら食べる朝食。その非日常感といったらありません。
コイロン

標高4000メートル辺りから見かけるコイロン(写真提供:Sernatur)

 このあと私たちは標高4000メートルにあるミスカンティ湖とミニケス湖へ。高度が上がるに連れ、風景は変化して行きます。このあたりで見られるのは針くらいの細さの葉が、太陽を受けてススキのように黄金色に輝く「コイロン」という名の植物。一面金色の足もとから眺める紺碧の水を湛える2つの湖はとても美しいものでした。

死海よりも濃い、沈まない湖

アタカマ塩湖とフラミンゴ

金色に染まる夕暮れのアタカマ塩湖とフラミンゴ

 さてかつて海の底だったアタカマ砂漠には塩湖がたくさんあります。南米ではボリビアのウユニ塩湖が有名ですが、野生のフラミンゴが集う鏡面となったアタカマ塩湖は、決してウユニに負けていないはず。夕暮れ時に湖が空を映して、一面ピンクから金色へと色を変えていく様子は感動ものです。  またアタカマ砂漠には「チリの死海」といわれるセハール湖(Laguna Cejar)があります。通常の海水の塩分濃度は約3%なのに対して、ヨルダンとイスラエルの国境にある有名な死海は、塩分濃度が約30%とその10倍です。そしてこちらのセハール湖は、死海よりもさらに高い約40%の濃度なんだとか。当然ながらこの湖に入ると、人間はどうしてもぷかぷか浮いてしまうことになります。
チリの死海

ぷかぷか浮いてしまう「チリの死海」(写真提供:Sernatur)

 真っ白の大地に囲まれた湖は目の覚めるような青色。標高2300メートルという高所だということもあり、南半球の秋にあたる5月はもうかなり寒かったのですが、ここまで来て浮かずに帰るなんてことはできません。「寒い〜、冷たい〜」と周りの誰も入りたがらないので、天空の湖を独り占めです。
天空の湖

白と青のコントラストが美しい「天空の湖」

 思い切って飛び込むと、確かに浮くのです。というか「浮いてしまう」のです。死海で新聞を読んでいる写真はよく知られていますが、あんな余裕はありません。立ち泳ぎ姿勢をとろうとしても体が転がってしまい、自由が効かないことに少し焦りました。
アタカマ

浮いてしまうって意外と怖い。貴重な体験でした

 急に飛べる能力を得たら、慣れるまでこんな感じなのかもしれません。湖から眺める白い砂漠もまた一興です。不思議な浮遊体験でした。  もちろん寒くてとても長々とは入っていられませんが、それでも忘れられない一生物の体験になりました。ちなみに少しでも体に傷があると塩が入って激痛が走るので、気をつけてくださいね。  月世界を思わせる不思議な光景。満天の星空。幻想的な朝日の中の間欠泉。そして塩湖の絶景とプカプカ体験。南米チリのアタカマ砂漠はまさに「スゴ旅」でした! <取材・文/東リカ>
ブラジル、アメリカを経て、現在ポルトガル在住のフリーライター。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。
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