今年はようやく様々な制限が緩和され、夏休みにはそろそろ海外旅行がしたい……そう考えたものの、円安が進むなかで結局は諦めたという人も多いかもしれない。そこで「スゴ旅」と銘打ち、読めば“行った気分になれる”世界各国の旅情報をお届けする。
インドの南に連なる諸島国家である「モルディブ」は、ダイビングの聖地とも言われるリゾート地。酸素ボンベを背負わないシュノーケリングでも、乱舞するような無数のマンタと一緒に泳ぐことができる、知る人ぞ知るポイントがあります。
乱舞するマンタと一緒に泳ぐことができる
マンタとは横幅が大きなもので8メートル、一般的なものでも4~5メートルにも及ぶ世界最大のエイ。そんなマンタが、手を伸ばせば届きそうなところを悠々と羽ばたくように通り過ぎる光景は鳥肌もの。今回はそんな感動必至の体験ができるアクティビティを紹介します。
圧巻の「マンタ乱舞」
マンタ乱舞は一年中見られる現象ではなく、雨季限定です。マンタの餌はプランクトン。そのプランクトンが増える時期にあたる6月上旬頃からチラホラとマンタが集まり始め、雨季の終わりにあたる10月下旬頃まで乱舞が見られます。
ピークは7月~9月頃。しかしながら、実はシーズン中に乱舞現象が毎日発生するわけではなく、筆者の体感では1週間に2~3度。こればかりは天候、潮の流れ、あとはマンタ達の気分、といったところでしょうか。
満月と新月の前後2日間に乱舞が発生する確率が最も高い、という現地民の情報もありますが、これも統計的にはなんとも言えず。マンタ乱舞との遭遇は運次第。そのため、最低でも現地で3泊、できれば5泊以上がお勧めです。
長期休暇を取得できる欧米人のツーリストは、マンタ乱舞に加えGT(※ロウニンアジと呼ばれる巨大魚)フィッシングやマリンスポーツも楽しむために、2週間以上滞在することもめずらしくありません。一般的な日本人の感覚からすると、なんとも羨ましい限りです……!
マンタはプランクトンを吸い込むために、口を大きく開けてゆっくりと羽ばたくように泳ぎます。海底から旋回しながら段階的に水面ギリギリまであがってくるため、ライフジャケットを付けて水面に浮かんでいるだけで、マンタが手を伸ばせば届きそうなところまで近づいてきます。
乱舞というだけあって多い時にはマンタが100匹以上集まります。自分のすぐ横や真下を何匹ものマンタが次々と通り過ぎていく光景は圧巻です。
数年前にシュノーケルをした時に、マンタ乱舞をドローンで上空から撮影した写真。中央から左下にかけて50匹ほどのマンタがいて、右下にはなんとジンベイザメの姿が。ジンベイザメとマンタ乱舞の共演はめずらしく、皆大興奮!左下には宙返りをして白いお腹を見せているマンタも
このマンタ乱舞が見られるポイントのハニファル湾はユネスコの保護海域に指定されており、実はスキューバーダイビングは禁止となっています。マンタのような大物に分類される海洋生物と一緒に泳ぐためにはダイビングライセンスが必須のイメージがありますが、このマンタ乱舞と泳ぐアクティビティはシュノーケルでのみ可能となるため、気軽に参加できるのも魅力のひとつです。
ただ乾季と比べて雨季は風が強いうえ、波が高くうねる日が多い傾向にあるため、海で泳ぐのは子供の頃以来という場合は、参加する前に、島のビーチで泳ぐ練習をしておくのがお勧めです。