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ゲーム依存は「脳にいいのか、悪いのか」脳内科医の見解は?

ゲームがやめられない理由

ゲーム依存 ゲームの大きな問題は、依存性が高く、やめることができなくなるという点です。  どれほど言っても、子どもがゲームをやめないと悩んでいる親御さんは多いと思います。また、そう言っている親のほうも、寝る前のスマホ依存がやめられず、気づくと数時間……という人もいるのではないでしょうか。実際に、「ゲームにハマりだしてから、時間が短く感じる」と訴える人がいます。 「卵が先かにわとりが先か」の議論になりますが、じつは、ゲームやスマホを手にとりたくなるのは、脳の働きが低下しているからです。  脳の活性が落ちているためにゲームやスマホを手にしたくなり、やめられなくなって脳がさらに活性を落とすという負のスパイラルに陥っているのです。夜中に ポテトチップスやナッツを食べ始めて、気がつくと袋が空っぽという経験はありませんか? そのときと脳の状態は同じ。  脳の働きが落ちているのに、どうしてやめられないのかというと、脳は一度、報酬を与えられるとそれを記憶して、パターン化する特徴があるからです。

パターン化の繰り返しで脳は成長しない

 脳が完全に眠っていれば、記憶した報酬欲求が目覚めることはありません。しかし、日中でも夜間でも、目が開いているとき、人は自分の脳が働かず何もしないでいることに苦痛を覚えるのです。つまらない学校の授業をじっと聞いていたことがある人は、そのときの苦痛を思い出してみてください。「早く終わらないかな」「もう教室から出たい」という気持ちになります。  こうした苦痛こそ、私たちが、スマホやゲームに手を伸ばしてしまう大きな動機なのです。起きているときは、誰しも脳が働かない苦痛から解放されたいのです。  脳は、楽しいときに、活発に働いています。 脳は「楽しい」を感じると、それを繰り返そうという性質があります。ゲームの楽しさ、あるいは、SNSや動画サイトで次々に繰り出される情報の楽しさを求め、習慣化してしまうのです。  しかも、脳は一度パターン化すると、そのサイクルを止めにくくなります。パターンを繰り返せば繰り返すほど脳は楽になっていくので、そのループから逃れるのが難しくなるのです。  もちろん、繰り返し経験をすることは脳の成長につながる面もあります。しかし、ゲームは繰り返しても、さほど脳を成長させません。成長するのはせいぜい、ゲームをクリアするうえでのスキルだけ。  ゲームやスマホによって、ほかの日常生活の時間が削られ、本来、脳を育てるために使うべき活動時間が極端に減ってしまう。それが問題なのです。
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読書は問題ないのか?
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一生成長する大人脳

AI社会で老化より怖い脳の劣化

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