恋愛・結婚

“物静かな同僚”が粘着ストーカーになった理由。「帰宅したら彼のニオイがした…」

夜中に玄関から物音が…

 あまりの恐怖に部屋には入れず、慌てて駅に引き返すしかなかった。大学時代の男友達に来てもらい、一緒に部屋を調べてもらうことに。 「幸いにも中にAがいるようなことはありませんでしたが、男友達も例の香水のニオイがすると言っていました。怖かったので、その日は、同性の友人の家に泊まらせてもらいました」  安全であることを確認した上で、自宅に戻った本多さんだったが、さらに怖ろしい体験をすることになる。 「ふいに夜中に目が覚めたんです。玄関のほうから物音が聞こえたような気がして……。めちゃくちゃ怖かったのですが、弟が護身用にくれた木刀を手にして玄関に近づいてみることにしたんです。玄関に続く廊下に出て、腰を抜かしそうになりました。ドアノブがゆっくりと回転していました……

何者かが侵入しようとしている?

 扉の向こうに誰かがいて、ドアノブをガチャガチャと開けようとしている……。屈強な男性でも肝を冷やす場面だろう。頭が真っ白になり、生きた心地がしなかったという。 「しっかり鍵はかけていたので、開けられるようなことはありませんでした。ドアノブが回らなくなって、どこかに行ったかと思ったんですが……今度はドアについているポストから手が伸びてきたんです。  手が届く範囲に何かないか探しているようでしたが、しばらくすると諦めたのか静かになりました。恐怖か安堵で感情がごちゃごちゃになり、涙が止まりませんでしたよ……」  身の危険を覚えた本多さんは、新幹線で数時間の距離にある実家に避難することにした。 「転職を考えていたこともあって、この機に乗じてすぐに退職しましたが、しばらくは怖くて夜もまともに眠ることができませんでした。後で聞いた話ですが、Aは仲の良い同僚に、『私に惚れられている』、『私がAの自宅に何度も押しかけてくる』など吹聴していたそうで……。そんな話を聞いてしまったからには、あの夜の犯人はAとしか思えません」  かつてお気に入りだった香水を、今では全身に鳥肌が走るほど嫌悪するようになってしまったという。 <TEXT/和泉太郎>
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ