ビジネスで履いてはいけない靴の特徴と、むしろ履くべき靴とは?
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
政府が提唱するクールビズや、ユニクロが提案する服のおかげもあって、ファッションにおいてビジネスとカジュアルの境目は曖昧になりつつあります。いわゆるスーツスタイルにおいては、昔ながらのクラシックな靴が正解です。しかし、意外に見過ごされているものがあって、それがカカトのすり減りです。「汚れている靴」は論外としても、カカトが1㎝も削れた状態で履いているのは完全にアウト。商談では、信用とチャンスを瞬時に失いかねません。
では、具体的に何㎜減っていたら替え時なのか? 男性であれば許容範囲は靴底の一番下にあるパーツ「トップリフト」までが限界です。トップリフトとは、ヒールが接地する部分です。
「トップリフト」と呼ばれる一番下のパーツは、ほぼどの会社も共通していて、6~8㎜前後のものが貼られています。それ以上削れてしまうと、まず、歩き方がおかしくなります。線の上をキレイに歩くことができなくなるので、おもちゃのロボットのような歩き方になり、その背中を見るとものすごく疲れているように見えます。
そもそも「トップリフト」以上に削れてしまうと、ベースの革がむき出しになり(木みたいに見える部分)、遠目からもかなり目立ちます。後ろ姿なので本人は気づきようもありませんが、とてもだらしなく見え、勝手に信用度のバロメーターを下げてしまいます。
トップリフトの8㎜なんてあっというまに削れると思っている方は、大間違いです。もし仮にその靴がきちんとあなたにフィットしているのであれば、カカトはそこまで削れません。数か月で削れてしまうのであれば、それは、足に合っていないユルい靴をズボズボ履いて、靴を履くときにカカトを踏みつぶして履いている証拠です。靴の持ち主の性格もおそらくズボラなのでしょう。これは、シューフィッターの経験則に従って明言できます。筆者自身、サラリーマン時代には、土台の革まで削れている方との商談は、基本すべて断っていました。
カカトは、両足3000円程度で修理ができます。たったそれだけの手間を惜しんで信用とチャンスを失うのはもったいないと思います。
カカトのすり減った靴は即アウト
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
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