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あったはずない「昭和」にハマる人続出!呂布カルマ、宇多丸も絶賛「架空昭和史」ってなんだ

テクノロジーで現実と妄想の境界が曖昧に

プロハンバーガー

「欲しかった自転車が買えた」と笑みを浮かべるプロハンバーガー氏

――おもしろい画像を生成させるための工夫はありますか? プロハン:まず「妄想力」ですよね。僕は昔、手相占いで「妄想と現実のはざまに生きてる」と言われたことがあって。たしかに妄想するのが好きで、街中でボーッとしてると「ここに今いきなりヤバいモンスター現れたら、どうなる?」みたいなことを考えてたりとか、脳みそが小学生のままなんですよ。  妄想や想像したものを言葉で表現する「言語力」も大事。あまり複雑な注文はAIも答えられないので、簡潔に表現しなきゃいけない。テクニック的には“雰囲気”や“味”に関わるワードが重要で。昭和っぽさを表現するための年代や場所の指定とか、あとは例えば、カメラの種類を昔の「ニコン○○○」のように指定することで、古い感じの質感になったりとか。Midjourneyは日本語対応してないので、思いついた文や言葉を英語翻訳にかけて入力するんですけど、翻訳で本来の意図とズレたのが結果的におもしろくなったりもしますね。  とはいえ、一方的にAIに命令してイメージ通りのものを出させるというよりも、やっぱり、思いもつかなったものが偶然に出力されるのがおもしろい。その“ガチャ要素”がヤバくて、めちゃくちゃ中毒性があります。僕、これをやり始めてから、毎日ずっとやってて、他のエンターテインメントをほとんど見なくなっちゃいましたもん。

水木しげる『妖怪図鑑』からの影響も

プロハンバーガー

プロハンバーガー氏

――架空昭和史は、画像と組み合わせる文章のおもしろさもありますよね。 プロハン:子どもの頃に水木しげるの『妖怪図鑑』が大好きで。文章がまた良いんですよ。「この妖怪はこういう場所に現れ、このように人を脅かす」みたいに、まことしやかに言い切るノリ。子どもは信じちゃうじゃないですか。たぶん、それにすごく影響を受けてます。あまりにも好きすぎて、自分も『妖怪図鑑』を描く人になりたかった。そんな子どもの頃の夢がAIで叶ったって感じです。 ――今後、AIを使った創作や世の中の受け止め方はどうなっていくんでしょうか? プロハン:何か作りたい、表現したい人にとって、ものすごい良い時代になってきたんじゃないでしょうか。アイディアの源泉さえあれば、AIツールを活用して、すごい早さでモノにしてくれる。自分の畑違いの分野にもチャレンジできるチャンスですよね。僕にしても、絵をちゃんとやってなかった人間なのに、個展までやらせてもらって。また、この経験を音楽制作にもフィードバックしたいと思ってます。  一方、注意すべきだなと思ったこともありまして。以前、電車に乗ったら、隣に座ってた女の人が突然、納豆を食い始めたんですよ。「ヤバい!」と思って、いちおうプライバシーに配慮しつつ隠し撮りして、「電車の中で納豆食べてる人いる!」とツイートしたらバズったんですけど、「これもAI画像だろ?」と、現実なのに創作だと疑われました。さすがに隠し撮りは良くなかったと反省して、そのツイートはすぐ消しましたが、新しい経験でした。たしかにAIで現実と見間違うリアルな画像をいくらでも作れますからね。こんなふうに、現実と妄想の境界が曖昧になる事態がどんどん加速しそうです。その反省も踏まえて、架空昭和史ではおもしろいものを作り出すことを目指しつつ、「誰も傷つかないように」と意識するようになりましたね。
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架空昭和史版『週刊SPA!』を作ってみた
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長年、医療や健康などのまじめな記事を書いていましたが、最近は「おじさん」や「おじさん予備軍」の男性がハッピーなおじさんライフを送るための情報をお伝えしたいと思っております。「DUB SQUAD」というテクノバンド、「TARO ACIDA」「DJチャラい先輩」などの名義でDJ活動もする浮ついたおじさんです

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