海外のライブ動画を観ていると、小さなミスを放っておくケースがけっこうあります。たとえば地下鉄の車内で自身最大のヒット曲「Stay」を弾き語りしたリサ・ローブ。ギターのコードを間違えたときにアイコンタクトをした乗客の黒人男性が、“まあ気にすんなよ”といった表情を返す。おおらかなやり取りで「Stay」がさらにいい感じになっていました。
U2のボノとジ・エッジがかつてのアメリカの人気番組『Late Show with David Letterman』に出演した際に急遽アコースティックで披露した「Stuck In A Moment You Can’t Get Out Of」も良かった。最後のサビへ行く手前、一瞬ジ・エッジがコードを弾き損ねる場面はまさにライブならでは。
それでも音楽はなにも傷ついていないのです。むしろ、そのつまずきの中にきらめきがある。ポール・シェイファーのハモンドオルガンが加わって息を吹き返す様は、まさに歌詞のメッセージを体現しているようでもありました。