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人気アーティストもブチ切れ…「THE FIRST TAKE」“つまずき”を排除した音楽に感じる違和感

「ハリボテのエンタメで若い才能を騙す行為はクソだ」

 一発撮り動画で人気のYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に現役アーティストが異議を唱えました。4人組ロックバンド「KEYTALK」の首藤義勝が8月13日に自身のX(旧Twitter)で「ハリボテのエンタメで若い才能を騙す行為はクソだ」と激しく批判したのです。一体どういうことなのでしょう?  首藤氏によると、『THE FIRST TAKE』の動画には歌の音程を修正する“ピッチ補正”と呼ばれる加工が「ゴリゴリ」にされているのだそう。簡単に言えば、少し音が外れて変に聞こえる部分をなくしているわけですね。  それによって動画クリップとしての完成度が高まることは確かだけれども、あたかもアーティスト本来の実力であるかのように謳うのはいかがなものか。これが首藤氏の主張です。

ネット上では“ピッチ補正”に賛否

 ネット上では様々な反応が見られました。“みんなわかってて楽しんでるでしょ”とか“そもそも無修正なんて言ってない”と、ピッチ補正ぐらい当たり前ぐらいの感覚で冷めていました。  しかしながら、ヤフーニュースのコメント数が1000件を超えていることからも、みんな『THE FIRST TAKE』にはどこかモヤモヤしたものを抱えている様子です。諸手を挙げて素晴らしい、というわけでもないからです。  “ピッチ補正ぐらい当たり前じゃん?”という現実感覚と、漠然とした不足感。『THE FIRST TAKE』の音楽は、なぜもどかしいのか。考えてみたいと思います。
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“失敗できない人たち”のヒリヒリ感を楽しむ娯楽
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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