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新築、中古の家を買う際に注意すべき“床の素材”。シートフロアがNGな理由

木の温もりと扱いやすさを兼ねた「挽き板」を選べ

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無垢材に比べて手入れが簡単な挽き板のフローリング

ここまで聞くとシートフロアがもっとも優れているように感じるが、押村はそのデメリットも指摘する。 「いってしまえば“ニセモノ”です。表面が本物の木ではなく人工物なので、触り心地や踏み心地が非常に悪い。さらに注目したいのが温度。真冬のシートフロアは、圧倒的に冷たいです。また、経年したときに、めくれや剥がれで汚らしく劣化するのもマイナス。本物の木が味わい深く経年変化していくのとは大違いです。 なぜシートフロアがここまでなぜ広まったのかといえば、業者が扱いやすいから。マンションでは色柄のバラツキはアタリはずれに直結しますし、キズがつきにくいというのは、非常にありがたい。例えば新築の引き渡しのときにお客様からクレームが来ないから。無垢材を使うと、引き渡しまでにどうしても小さいキズがついたりする。シートフロアはそれを回避してくれるわけです」 では結論。押村が薦めるフローリングはどれなのか。
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圧倒的な美しさを誇るタイルフローリング

「ベストは木のよさを味わえる無垢材ですが、手間がかかることは覚悟してください。止めてほしいのはシートフロア。剥がれるし、寒い。そもそもニセモノの上で毎日、生活するというのは僕としてはおすすめしません。 となると、ベターは挽き板か突き板ですが、より厚い木を使っている挽き板をおすすめします。ただ、挽き板は安いものではないので、もし注文住宅を建てるなら、『タイルはどうですか?』と提案しています。個人的にタイル素材が好きなので。ただし、タイルを施工する場合は、いろいろなテクニックが必要になってきます。床にタイルを使ったら、人生が変わるぐらい感動すると思いますよ」 最後は木材の話ではなくなってしまったが、床選びの際にぜひ参考にしてもらいたい。 〈取材・文/ツクイヨシヒサ〉
(おしむらともや)スタイラス所属。20代で建築、都市計画、インテリア、暮らしについてカナダ、アメリカで学び、輸入住宅などを手掛けるも挫折、住宅とは何かを見失う。大手ハウスメーカーや大手デベロッパーにコンサルティングして感じた「業界の嘘」と「都合の良い慣習」に納得できず、悪しき慣習にまみれた日本の住宅づくりからの逸脱が始まり、住宅業界の異端児となり、1000棟以上の建築設計を手掛ける。2022年7月にYoutubeチャンネル『ジュータクギャング』を開設。近著『美しい家のつくりかた

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1000軒の家を建ててわかったこと

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