ジョッキーエフェクトの「代表的な4パターン」とは
「騎手がどう乗るか?」を予測することで、競馬予想の精度は一層上がる
写真/橋本健
たいしん:代表的な「ジョッキーエフェクト」は4パターンあります。
①バイアス強化:トラックバイアスとシナジーを生むエフェクト
②展開アシスト:展開とシナジーを生むエフェクト
③馬個性サポート:馬個性と相性の良いエフェクト
④ユニークアビリティ:特定の条件で騎手自身がパフォーマンスを上げるエフェクト
①の「バイアス強化」は
トラックバイアス(=馬場の偏り)とシナジーを生むエフェクトで、「内枠有利なコース×内枠得意の騎手」みたいなパターン。開幕週・内枠の鮫島克駿騎手が代表的です。
②の「展開アシスト」は
レース展開とシナジーを生むエフェクト。「前残りが見込まれる展開で、先行得意の騎手を狙う」などで、これはイメージが湧きやすいかと思います。
③の「馬個性サポート」とは、
その馬特有の個性と相性の良いエフェクトを指します。「能力はあるけど掛かりやすい馬×折り合い得意の騎手」とか。馬の特徴に合わせて工夫して乗る騎手としては、浜中俊騎手が真っ先に思い浮かびます。
④の「ユニークアビリティ」とは、
特定の条件下で騎手がパフォーマンスを上げるエフェクトで、例えば北村友一騎手は“少頭数”でパフォーマンスを上げる傾向があります。
「ジョッキーエフェクト」の威力をまざまざとみせつけたのが
2022年ホープフルS。たいしん氏の◎は、14番人気・単勝90.6倍で勝利を収めた
ドゥラエレーデでした。
——では、ジョッキーエフェクトを活用して大穴を開けた「2022年のホープフルS」の解説をお願いします。
たいしん:このレースは、馬場状態や騎手意識から前残りでの波乱があり得ると睨みました。ただ、当日はタフな馬場で、非力な先行馬ではパワー不足を露呈してしまう可能性が高い。
そこで「ジョッキーエフェクト」の出番です。ドゥラエレーデに騎乗する
ムルザバエフ騎手のエフェクトは「大型馬を動かせる」「ダートや荒れた芝などタフな条件で強い」。ドゥラエレーデは500キロを超える大型馬で、ダートで勝ち上がっているパワータイプ。前走の東京スポーツ杯では逃げて0.2秒差の4着でしたが、ムルザバエフ騎手とのシナジーで、さらなる前進が期待できたのです。
ムルザバエフ騎手は短期免許での初来日で、まだ、あまり特徴を知られていませんでした。このように、周囲に先んじてその騎手の特徴を掴んだり、成績的にあまり目立っていない騎手の長所を押さえていくことで、馬券的には大きな差がつけられます。
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たいしん氏のイチオシ騎手は「小林勝太騎手」。小林騎手の魅力は後編で解説してもらいました。
写真/橋本健
今回解説してもらったジョッキーエフェクトをもとに、27日に開催される「キーンランドC」の予想をお願いしました。「重馬場で狙える“意外な”騎手」と、キーンランドCの注目馬などの話を聞いたインタビュー後編は、27日(日)の午前中に公開予定です。
取材・文/松山崇
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。