「食事は動画を見ながら…」M-1ファイナル3大会進出のブレイク芸人が語る「究極のひとりメシ」
漫画・ドラマ『孤独のグルメ』(ドラマシリーズはなんと昨年で10年目に突入)のブームも手伝って、「ひとりメシ」が寂しいものから、豊かな時間の使い方に変化。そしてそんな「ひとりメシ」は忙しい日々を送る人気芸人たちにとっても密かな楽しみである。前回の記事に続き、今回は「M-1グランプリ」3大会連続ファイナル進出の実力派コンビ・見取り図の2人が「ひとりメシ」を語ってくれた。
リリー:僕には芸人としての“今年の夢”が2つあって、1つは「海外進出」。それは今年の5月に、タイでライブをさせてもらって叶えられました。でもまだ、もう1つやり残していることがあったんですよ。それがジャンポケの斉藤と「ひとりメシ」の良さを語り合うこと(笑)。それがこんな形で実現するとは思わなくて、この収録前日は「M-1グランプリ」の決勝戦前夜並みに緊張して、寝付けませんでしたよ(笑)。
※SPA!取材班はこの日、見取り図の2人とジャングルポケット・斉藤さんがリモートで互いのひとりメシを実況しあうテレビ番組収録に同行
淡々と、しかしどこか熱を持って語るリリーさんもかなりの“ひとりメシ愛好家“。特に劇場終わりはいつも「ひとりメシ」をするのだという。
リリー:大阪だとお笑いライブが一斉に終わることが多いので「この後みんなでメシ行こか」となるんですけど、東京では舞台を終えた芸人さんから順に帰るから、芸人仲間とメシを食べに行く機会があんまりないんですよ。それに僕は独り身。だから僕にとって「ひとりメシ」は特別なイベントじゃなく、ルーティンですね。
これだけを聞くと一見、ただ食事をしているだけのようにも思えるが、実は店選びにはこだわりがあるのだとか。
リリー:グルメルポ動画を参考にしながら、「ひとり酒の時間に浸れるかどうか」を重視して店選びをしてますね。常連客で賑わっているお店や、芸人の僕に厚意で声をかけてくれるようなお店はちょっと申し訳なさがある。付かず離れずの心地良い距離感の接客で、なんならガラガラに空いているお店の方が僕は好きですね。味については今の時代、美味しくない店を探すほうが難しいくらいでしょ。
そして、入店したら「自分ひとりの世界」を構築するのがリリー流の究極の「ひとりメシ」だ。
リリー:本当はスペースも自分ひとり座れて、目の前に料理が置けるくらいあれば十分なんですよ。理想はテーブルの両サイドに仕切りがあってお客さんの顔がまったく見えない極小スペース。そう、「一蘭(※編集部注:隣客との間に間仕切りがあり、簡易個室のような空間が特徴の人気とんこつラーメンチェーン)」の“味集中カウンター”みたいなね。「ひとりメシ」の時の僕は、YouTubeで動画を見ながら食事をするんですけど、これも“味集中カウンター”のような空間を作りたいからなんです。動画自体は家でもどこでも見られるけど、お店でひとり、酒とメシを食らいながら自分の空間を作るっていうのが、幸福度が格別に高いんですよね。それで気づくと酒とメシに無心で向き合ってるんですよ。で、食べ終わったらすぐ帰る。体が命じるがままにこれを繰り返してます。
そんなリリーさんが足繫く通っているというのが、麻布十番商店街にある「福島屋」。自家製さつま揚げが有名な大正10年創業の老舗おでん屋だ。
リリー:ここで僕がよく頼むのが「おでんポテサラ」。すり鉢の中におでんの玉子やじゃがいも、キュウリなんかの具材が入っていて、自分で好みの具合にすり潰して食べるんです。これがまた、おでんの出汁が味に深みを与えていていい仕事をしてるんですよ。僕はじゃがいもをかなりしっかりすり潰す派ですね。で、具材が絶妙な絡み具合になったら口に放り込んで、立て続けにアルコールで流し込む。料理と酒のマリアージュを全身で感じられます。ここでは自家製のさつま揚げはもちろん、トマトのおでんや、牛すじや豆腐の「味噌おでん」もオススメですよ。
そしてやはり、食べ終わったらすぐに退店。
リリー:誰かと一緒だと、「もう一杯」ってなることあるでしょ? 「ひとりメシ」にはそれがない。タイパとコスパに優れた時間の使い方なんですよ。
目の前に味集中カウンターを作る! 究極の「ひとりメシ」
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