更新日:2023年09月21日 17:51
エンタメ

“神宮外苑再開発を憂う”サザンの新曲に感じた違和感。メッセージはわかりやすいが「足りなかったもの」

足りないのは「聞き手が立ち止まって考えるための奥行き」

「Relay〜杜の詩」には、このクッションがないことに気づくと思います。議題の設定と作者の立場を明らかにすることにこだわるあまり、聞き手が立ち止まり考えるための奥行きが失われているのです。  創作のエッセンスについて記したスティーブン・キングの『書くことについて』(小学館文庫刊 訳田村義進)に、こんな一節があります。 <なんらかの問題意識やテーマにもとづいて書くというのは、駄作のレシピである。優れた小説はかならずストーリーに始まってテーマに終わる。テーマに始まってストーリーに行き着くことはまずない。>(p.278-279)  熱く正しい思いを抱くあまり、桑田佳祐は大きなミスを犯してしまったのではないでしょうか。 文/石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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