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中央競馬で負けても「ばんえい」がある! プロに聞く‟ばんえい競馬の勝ち方”

日本に存在するもうひとつの‟競馬”

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迫力満点のばんえい競馬は現在、帯広競馬場でのみ開催されている

 競馬というと、鍛え抜かれた筋肉美と、それには不釣り合いの細い脚でサラブレッドが速さを競う風景を思い浮かべる方がほとんどでしょう。ですが、日本にはそれとは違った‟競馬”があります。それがばんえい競馬。  ばんえい競馬とは、農耕馬をルーツに持つ馬(ばん馬)が、最大1トンもある鉄のソリを曳いて、2箇所に坂が設けられた200mのセパレートコースで競い合うレースのこと。疾走するサラブレッドのスピード感ではなく、そこにあるのはまさに肉弾戦。前を行く馬がゴール寸前で止まってしまって起こる大逆転劇は、ばんえい競馬ならではのものです。  かつては旭川市、岩見沢市、帯広市、北見市の4市で開催されていましたが、2007年度からは開催が縮小されて帯広市のみに。ただ、その独自性、そしてインターネット投票の拡大により売上は好調で、2022年度には過去最高となる約554億の売上を記録。中央競馬が終わった土日のナイター、そして他の地方競馬があまり開催されていない月曜日に行われることもあって、「今度ばんえい競馬を買ってみようかな」と思っている競馬ファンの方も少なくないのでは?  ということで、今回は、気になるけれど、ちょっと敷居の高い「ばんえい競馬」の攻略法について、大手競馬サイトなどでばんえい専門に予想している予想家の「ワイドな男子!」氏にお話を伺いました。

基本は“水分量”。雨が降るほどカオスの状況に

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ばんえい競馬専門の予想家・ワイドな男子!氏

――「ばんえい競馬を買ってみたいけど、よく分からなくて手が出せない」というファンは多いと思います。 ワイドな男子!:たしかに競馬場は1箇所だけで、セパレートコースなので道中の有利不利も少ない。同じメンバー同士の対戦も多いので、普段中央競馬をやっている方にとっては、何をよりどころに予想していいかよく分からないでしょうね(笑)。もっとも取っ付きやすいファクターは、‟水分量”ではないでしょうか。 ――‟水分量”というのは、コースの砂に含まれている水分の割合ですよね。サラブレッドのレースでは、水分量が多い場合が「重馬場」、水分量が少なく乾いた状態が「良馬場」。 ワイドな男子!:ばんえいの場合、水分量が少なくパワーがいる場合を「重馬場」、水分量が多くて脚抜きの良い状態を「軽馬場」と言います。「重馬場」の概念が真逆なので混乱しそうですが、中央競馬を予想する時でも、時計の速い状態を「軽い芝」「軽いダート」と表現するので、そのイメージを持っておくとわかりやすいかもしれません。  水分量は0.0%~9.9%で表しますが、今の時期なら大体、水分量は1.6%前後。これぐらいの水分量だと各馬が能力を発揮しやすいので、シンプルに能力差や過去の対戦比較に基づいて予想するのが良いでしょう。実際、私も1.4~1.9%ぐらいの時が得意……だと自分では思っています(笑)。 ――水分量によって傾向はどのように変わりますか? ワイドな男子!:水分量が多いとソリを引く力が軽くなるため、前残り傾向に傾き、パワータイプの馬や末脚自慢の差し馬にはやや不利になります。特に2.5%を超えてくると、明らかに先行有利で、スピードタイプの馬が躍動します。そのため、日頃から軽馬場得意の馬をリストアップ・ストックしておくのがオススメです。  また、水分量が多い馬場は、昇級戦の馬にとっても有利に働くため、斤量差+馬場の恩恵により、ワンパンチ足りない馬が馬券圏内に来ることが増えます。3.0%を超えると、もはや色んな意味で沼(笑)。通常の予想ではあり得ない馬が飛び込んでくるので、穴党なら雨が降っている時に狙いを絞るのも面白そうですね。
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馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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