<漫画>「自分が死ぬ夢」をよく見てしまう…『死役所』作者ならではの職業病
自殺・他殺・病死・事故死など、さまざまな経緯や事情を抱えて死に至った人々が訪れ、成仏するための手続きを行う役所を舞台に、死してなお「自分の人生はなんだったのか」を見つめ直す人々の姿を描く――。
これは、『月刊コミックバンチ』(新潮社)で連載10周年を迎えた『死役所』という作品のあらすじだ。
累計発行部数は630万部にも及ぶ人気作なわけだが、シンプルなようで奥深い設定こそ長年読者から支持を得続けている秘訣ではないか。
作者であるあずみきし氏に、連載に至った経緯や制作の裏話を語ってもらったのがインタビューの前編。後編となる今回は、パーソナルな情報について掘り下げていきたい。
――あずみさんが漫画家を目指すようになった原体験には、ご兄弟の影響があったとか。
あずみきし:兄が自由帳に漫画を描いていて、お互いの描いた漫画を読み合うといったことを子供のころによくやっていました。絵を描くのが好きで芸術系の短大に進み、投稿して漫画で賞を受賞したのを機に一度上京したんですけど。そこでちょっと挫折して、地元の別府市役所で働いていたという感じです。
――とあるインタビューで「デビューまでに40作以上、1300ページ以上を投稿していた」とも語られています。この時期は精神的にしんどかったのでは?
あずみきし:漫画を描くこと自体が楽しかったので、辛くはなかったですね。もちろん、デビューしたい気持ちはずっとありましたけど。
――そこで培われた地力もあってか、締め切りに追われて徹夜したことはないそうですね。
あずみきし:『死役所』の連載で徹夜した経験は一回もありません。他の漫画家さんとお話したときには、「こんなに健康的な漫画家さん、初めて会いました」と言われました(笑)。
――ちなみに、一人で描いているという話は本当ですか?
あずみきし:地元を離れてからは完全に一人ですね。幸い、月刊連載ということもあってか、なんとかなっています。
――単行本のおまけページによると、わりとアナログな形式で描かれているのかなと思いました。
あずみきし:“半分アナログ・半分デジタル”ですね。途中までアナログで描いて、仕上げだけパソコンを使っています。
――最近は液晶タブレットのみで描き上げる作家さんも多そうです。
あずみきし:そういう方のほうがむしろ多いと思います。私は枠線を引くのが嫌いなので、枠線なしの状態でペン入れして、それをパソコンに取り込んで枠線を引いた後、ベタを塗るという流れです。
徹夜した経験は一回もない
アシスタントに頼らず「完全に一人で作業」
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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【『死役所』連載10周年記念 あずみきし先生初サイン会】
■開催日時:2023年10月7日(土)13:00開始
■場所:芳林堂書店高田馬場店8Fイベントホール
■対象書籍:『死役所』24巻 あずみきし(定価:税込726円)
※上記対象書籍を予約・ご購入いただいたお客様がイベントにご参加頂けます。
※サインにはお宛名とイラストが入ります。
※サイン会へのご参加は参加券番号順となりますので、参加券番号の選択・指定はできません。
詳細はこちらから。
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