エンタメ

『水曜どうでしょう』歌手でパーキンソン病と闘う樋口了一が語る、59歳での“初挑戦”「自分の曲に背中を押される」

「君はどうするんだ」と突きつけてくる映画

いまダン

メイキングより、古新監督と樋口さん (C) いまダンフィルムパートナーズ

――そしてついに、樋口さんも演技に挑みました。『いまダンスをするのは誰だ?』というタイトルから気になります。主人公はもちろん、観る人のことも鼓舞しているような。 樋口:主題歌のタイトルでもあるんですけど、今回このタイトルと歌詞を考えたのは古新(舜)監督です。確かに、何か突き付けられているような、ドキッとすることが随所に綴られているんですよね。特に印象的だったのが、サビの後半に「さあ、どうする」という言葉が突然出てきたときです。聴いている僕らに向けられているような感じがしました。同様に、ハテナマークで終わるタイトルにも同じものを感じましたね。 ――観ているこちら側も、自分のこととして考えてみろと。 樋口:そうだと思います。「君はどうするんだ」みたいな。「映画を観てる場合じゃないだろう」と。いや、「映画を観て、その上で、外に出て自分で考えて行動しよう」という感じですね。

パーキンソン病患者への誤解

いまダン

『いまダンスをするのは誰だ?』(C) いまダンフィルムパートナーズ

――最初は自暴自棄になっていた主人公が、途中から食を改善したり、薬もきちんと飲むようになっていきます。パーキンソン病では、薬を飲む、飲まないで、体の動きにおけるオンオフの差がはっきり出たりするのでしょうか。 樋口:それははっきりあります。 ――薬が効けば動けるようになることで、誤解されてしまうということもあるのでしょうか。 樋口:僕は発症してから16年目かな。進行は遅いようなんですが、やっぱりドーパミンが作られないので、それを薬で補充する必要があります。治療薬ではなくて、対症薬なんです。その薬が効いているときと切れたときとの差というのは、自分の内面で、はっきり180度違います。  僕は、客観的に見て本当に動けなくなるところまでは、まだなっていませんが、全く動けなくなった状態で、薬を飲んで効いてきて動き出したら、その差は誤解を生むでしょうね。実際、サボっていると見られることも多いらしいです。僕なんかは、ライブ中に薬が切れてしまうと何もできなくなってしまうので、気を付けるようにしています。 ――「サボっている」と見られることがあるというお話が出ましたが、そうしたことへの誤解についても知って欲しいですか? 樋口:そうですね。僕が一番伝えたかったことかもしれません。知って欲しいということです。
次のページ
父の姿を思い出したサラリーマン姿
1
2
3
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

記事一覧へ
【公開情報】
映画『いまダンスをするのは誰だ?』新宿K‘s cinema他全国順次ロードショー
(C) いまダンフィルムパートナーズ
おすすめ記事
ハッシュタグ