仕事

新人にパワハラしていた先輩を通報した結果…“モンスター新人の教育係”がたどる不運な人生

プログラムのバグと同じ前提で考える

 そもそも、なんでモンスター新人が現れるのか。ちゃんと採用活動をすれば見切られるはずだと考えることは、確かにその通りですが、半分正解で半分は間違いです。  原因は2つ。1つは、空前の労働人口の目減りです。確かに、採用活動で、筆記試験、適正試験、グループやケース討議等の実習、面接を組み合わせ、多面的にアセスメントを行えば、モンスター新人を採用選考の中で弾けるかも知れませんが、採用は完全な売り手市場。  それだけの採用プロセスを踏んでも、たくさん優秀で欲しい人材が集まる会社は極少数なのが実際です。いろいろアセスメントしている間に、他から内定がでたら、こちらは蹴られてしまう可能性が高くなります。  しかも、今はネットで就活生が各社の採用プロセスや感想をガンガン書き込みます。それほど就活生の人気がない企業が細かく採用ステップを踏むと、就活生目線では、「採ってやるぞ感が強く、上から目線。入社したら大変そう」という印象に受け取られ、その評判が広まるリスクも出てきます。欲しい人材はどの会社も欲しいので、速く内定を出して他を受けないようにしたいと考えることは致し方ないことです。

モンスター新人が現れるもうひとつの理由

人事 原因の2つ目は、採用面接者が採用した人の育成の責任を負わないことです。外資系は違いますが、日本企業は新人を人事がまとめてプールし、新人研修を行った後に、経営や人事主導で配属先を決めます。  面接担当者の部署に面接した新人が配属されるとは限りません。採用面接に関わった「みんな」の総意で合否を決めるので、新人の育成責任までを考えず、なんとなくの印象で採用が決まってしまうリスクがあるのです。  モンスター新人も20数年生きてきた処世術があります。逆に、モンスター新人こそ、目上の人に気にいられる術を身に着けているので、見抜けないのです。
次のページ
「みんな」で育てることでモンスターを排除
1
2
3
4
人事・戦略コンサルタント。外資系や日系の大手企業から中堅企業まで24年間、600社以上の人事や働き方改革に従事。『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』(明日香出版社)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)はベストセラー
記事一覧へ
おすすめ記事