「会社員時代には経験しなかった“収入の不安定さ”に悩まされ、家計を支えることが難しくなりました。生活費、子どもの教育費、さらには将来の老後資金。さまざまな不安が襲いかかってきたのです」 　退職前には考えもしなかった経済的な問題。また、早期退職した会社では、多くの管理職が早期退職したことで、後輩や仕事をサボりがちだった同僚が出世して管理職のポストについているという“現実”を耳にした。大家さんは次第に自身の決断を疑うようになってしまった。 「かつての同僚たちが安定した給与を得る中で、私の選択は正解だったのか……もう少し慎重に行動すべきだったと思います。早期退職金の上乗せに惹かれ、後先をあまり考えずに安易な決断をしてしまったのが失敗の原因だと思います」 　大家さんは「会社員に戻りたい気持ちもある」というが、すでにアラフォー。再就職も簡単ではない。今では個人事業を立て直すために心を奮い立たせている。 　大学卒業後、新卒で家電量販店に就職した金子新太さん（仮名・30代）。朝9時から夜11時まで脇目もふらず働きまくったという。 「もちろん残業代は1分単位で出ましたので、金銭面で不安はありませんでした」と語るように、社会人生活は上々の滑り出しを切ったかのように見えた。 　それから数年後、会社が某家電量販店に吸収合併され、完全に子会社となった。しばらくは変わらない状況だったそうだが、次第に変化があらわれる。 「以前の給与額は学歴と勤続年数に応じたかたちで、私もそれに納得していたのですが、合併後は成果主義になったんです」