もともと虚弱体質だった金子さんは、職場環境の変化に戸惑ったという。 「成果主義は体力勝負なところもあるので、急に居づらくなってしまいましたね。景気も上向きにならないまま、平成から令和に。気がつけば私も30代後半です。相変わらず平社員のままで、給与も新入社員の頃からプラス2～3万円ほど。大学同期とは、もはや比べ物にならないぐらい差をつけられてしまいました。 　アラフォーなのに新入社員と給与はさほど変わらないし、立ち仕事が自分の体に合わず、限界を迎えていたので。ちょうどいい機会だと思って、早期退職を決意したんです」 　金子さんは、こうして勤続10年以上の会社を後にする。ただ、そこで得られたものは多いと感じていた。家電知識、商品の配達や設置、簡単な操作説明、クレームを含む電話応対。同じ業界であれば、どこに転職しても成功するはずだと確信していた。 「しかし、家電業界も飽和状態で。多少の経験がある私みたいなアラフォーよりも若手が重宝され、納得できる給与をいただける転職先はありませんでした」 　厳しい現実を突きつけられた金子さん。しばらくは落ち込んでいたが、最近は大型トラックの運転手を目指そうと前向きに奮闘中なのだとか。「体力に自信はありませんが、生きるためにやむを得ないと思う今日この頃です」と本音を吐露した。 ＜取材・文／chimi86＞2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。