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北芝健「暴力老人増加の原因は男性ホルモン」

 高齢化社会に向けて社会福祉の充実が叫ばれる一方で、老人による凶悪犯罪が増えている。内閣府発表によると、暴行・傷害など粗暴犯の数は十数年前に比べて約20倍。高齢者増加数に対する粗暴犯検挙率も、日本がトップだというが……

◆高齢者による暴力行為は、今後も増えていく!

北芝 健氏

北芝 健氏

 戦後日本の犯罪の多くは貧困が原因でしたが、近年は、不況下とはいえ個人の強欲によって犯罪が引き起こされる傾向が強くみられます。なぜか? その答えの一つは、社会的、経済的な抑圧から解放された団塊世代以降の置かれている状況にあります。会社を定年し、家族を養うという(見えざる)抑圧にこれまで苛まれてきた人たちが解放され、精神的に底が抜けた状態になっているケースが増えているのです。

 犯罪を起こさないであろうと思われている人が、例えばチャラチャラした若者にバカにされたことに激高し、その情動を抑えられなくなり、粗暴化するという刑事事件は少なくありません。こういったケースを鑑みると、容疑者の心理的背景だけを見るようでは、もう古い。犯罪学の最前線では、暴力的な破壊行為に及ぶ要因のひとつとして、ホルモンの分泌を重要視しています。

 男性は、男性ホルモンの活性アンドロゲンの一種であるテストステロンに支配された生き物です。テストステロンは男らしさを生み出すホルモンで、攻撃性や暴力傾向などの支配的な欲望をコントロールしています。通常、加齢とともにその分泌量は減少していきますが現代は飽食の時代。高齢者でも肉や魚卵が好きで、毎日のように食べる人は少なくない。こういった食べ物を多く摂ると、男性ホルモンの分泌が活発になります。無論、皆が犯罪者になるわけではありませんが、この生理現象が、高齢者の粗暴行為を助長しているのは確かです。女性も例外ではなく、前述の食料事情に加え、趣味の多様化により男性ホルモンが活発化している。女性も競争的な活動(射撃、球技など)により男性ホルモンが急増します。

 とかくすべての抑圧から解放されると人間(主に男性)の脳は、その状態に充足できなくなり、さらなる刺激を欲する。暴力行為には快楽が伴うので、結果的に凶悪犯罪に及んでしまうのでしょう。

【北芝 健氏】
犯罪学者、作家、学術社団日本安全保障・危機管理学会顧問。早稲田大学卒業、元警視庁刑事。『悪の経済学』ほか著書多数。武道にも精通

― [バイオレンス老人]急増の謎を追った【5】 ―

悪の経済学

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