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桑田佳祐&松任谷由実とビートルズの新曲に表れた「圧倒的な差」。過去の素材を使用しているのは同じだが…

問われているのは、音楽の質ではなく…

 もちろん、これで両者の功績に傷がつくことはありません。もう十分すぎるほどの名曲を残してきました。  けれども、80歳を超えるポール・マッカートニーとリンゴ・スターが、いまもなお“新しさ”を追求して勝負しているのに比べると、なんともさびしい。37年前の音をそのまま持ってきた姿勢は、筆者には“降りてしまった”ようにしか見えませんでした。  若い人たちは、年長者の背中を見て育ちます。ビートルズの「Now And Then」は大した曲ではありませんが、それでもポールやリンゴが一生懸命、丁寧に楽器を演奏する姿は、多くの若者をインスパイアしたに違いありません。 「Kissin’ Christmas (クリスマスだからじゃない)」に、そういうパワーはあったでしょうか?  問われているのは、音楽の質ではなく、どのように向き合っているか、だと思うのです。 文/石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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