ケース2:33歳・会社員・年収1400万円の男性
2人目の男性のお悩みは「仲直り」について。
33歳会社員で年収は1400万円、スリム体型に身長173cmと、恋愛市場においてはなかなかの高スペックといえる。そんな彼がやらかしてしまったデートでの大失態とは。
「この方は、
USJデートで節約のために『アルミホイルに包んだおにぎり』を持って行ってしまったのを機にギクシャクしてしまったそうなんです。都心在住なのにLCCを使うため成田に出向き、関空からバスで乗り継いだ。そこまでは着いてきてくれたようですが、おにぎりがトドメになってしまった、と」
物価や地価の上昇が著しい都内在住とはいえ、年収を踏まえれば異様にケチな相談者。どうも将来の起業に向けて、日々貯金に励んでいるらしい。
「目標に向けて蓄えられるのはもちろん素晴らしいことです。毎月50万円の貯金、そうできるものではありません。しかしこの徹底ぶりは、『貯め込む』ことが目的にすり替わっているようにも感じられます。500万円未満の資金で起業する人が多いなか、すでに数千万円と貯まっていることでしょう。
にもかかわらず、大切な彼女と行く旅行で、新幹線との差額やランチ代の計2、3万円をケチってしまう。適切な投資ができていません」
やはり女性とのデートには「お金」をかける必要があるのか。
「いえ、彼の敗因は『説明・演出不足』と『距離感の見誤り』です。なぜ自分がそこまで必死に倹約に努めているのか、お相手にきっと伝わっていません。それにお弁当を持参するとしても、ワクワクするようなお弁当を用意しないと。
せっかくの遠出に、遠回りして格安の飛行機に乗り、家から持ってきたアルミホイルのおにぎりでは悲しいです。相手の気持ちを慮れていたらできるであろう、説明や演出ができていなかったのが1つ目の失態です」
「アルミホイルおにぎり」は無礼と思われても仕方がない
2点目の距離感の見誤りとは、SNSでたびたび炎上する「初回デートの店選び」問題とも同様の構造のようだ。
「結婚してからであれば、さしたる問題にはならなかったはず。つまり彼女は交際中といえどまだ他人であり、ハードな節約を共有できるほどの関係性は構築できていないことをわかっていなかったのでしょう。しかもお便りによると、
お相手がご本人以上によほどモテているだろう方なんです。9歳年下の24歳で、両親ともに実業家。さらに気立ても容姿も抜群というのですから……これは男性が想像できないほどにモテます。
また東村さんは『彼女さんのお育ちによる感覚の違いもあったのではないか』とも指摘されていましたね。たとえばお宅に訪問するとき、手土産は百貨店で化粧箱に包まれたものを買ってくるのが、当然の感覚として育ったのではないかなと。
そうしたお相手と『アルミホイルおにぎり』は時期尚早過ぎで、無礼と思われてしまいますよね」
引く手数多の女性に対してこの状況は絶望的にも思えるが、挽回策はあるのか。
「
鍵は『お母様』が握っていらっしゃりそうです。実業家なら起業の苦労はよくご存知でしょうから、倹約家ぶりも好印象となって仲を取り持ってもらえる……その可能性に賭けましょう。くわえて、
彼女本人には事前に『手紙』でしっかりと謝罪しておくのが大事です」
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「専門知」に自負のある人が知識不足を指摘され、起業家志望の人が「投資の失敗」を指摘される……。
このような「他人の失敗」にはつい笑いたくもなるが、構造から把握すればもはや我がこと。痛快な愛の鞭から、人間関係の機微を学びたいものだ。
<TEXT/海原あい>
コンビニで買えるビール類はほぼ全制覇しています。本は紙派。さらに調味料と服とスペースエイジ系のインテリアを収集しているため、収納不足に陥りがちです。好きな検索ワードは「備忘録」