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上場企業の今冬ボーナス平均額は“80万円超”…広がる格差に悲鳴。ボーナスが上がらない「日本独特の要因」

上場企業の今冬のボーナスが80万円超と過去最高を記録する一方、帝国データバンクによれば、前年比でボーナスが増えた企業は24.1%にとどまった。コロナ明けで広がる賞与格差のリアルな実情を追った。

なぜ僕たちのボーナスは上がらないのか?

[冬の賞与]格差ルポ

写真はイメージです(以下同)

「今冬のボーナス平均額は80万28円と過去最高」―。 大々的に報じられたわりに、今回の取材を通しても高揚感は微塵も感じられない。その理由を、経済ジャーナリストの渋谷和宏氏が解き明かす。 「80万28円は東証プライム上場企業187社の平均値にすぎません。日本の労働者の約7割を占める中小零細企業に勤める人にとっては他人事だし、全就業者の3人に一人はボーナスなしという調査結果もあるほど。確かに、今冬のボーナスの平均支給額は2%強の増加が見込まれていますが、3%以上で推移している物価上昇率の前には、大企業の高水準のボーナスでさえ焼け石に水。数字が独り歩きしていると言っていい」

ボーナスが上がらない「日本独特の要因」

東証プライム以外でも過去最高益を叩き出す企業が少なくないなか、なぜボーナスは上がらないのか。企業の利益は必ずしも社員に還元されるわけではないが、そこには日本独特の要因が潜んでいた。 「多くの日本企業がコストダウンのみを是とする“縮み経営”を続けてきたからにほかなりません。その弊害が、下請けへの値引き強要や、30年間も増えない設備投資額、象徴的なのが社員をコスト扱いした“似え非せ”成果主義です。 実際、成果主義の名のもと、総人件費を抑えるため、あらかじめ高評価の人数を制限するような施策を採用している企業は少なくない。こうした事実に薄々感づいている会社員も珍しくないのではないか。 ここ30年、日本の賃金が上がらないのも、ひいてはボーナスが増えないのも、社員を“コスト”扱いした企業経営の結果です」 [冬の賞与]格差ルポ
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日本の賃金が増えないのは、労働生産性が低いから?
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