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面接時に罵詈雑言を浴びせられたことも…「右目を失明した女性」が“理想の自分”に出会うまで――大反響トップ10

「愛着が持てなかった」初めての義眼

リブ

見る機能を失うと目は小さくなっていくという

――そうして義眼製作所で初めての義眼を作られたんですね。感想を教えてください。 リブ:「よくできているなぁ」というくらいですね。失明して「見る機能」を失うと、目は小さくなっていきます。私も右目が左目の半分くらいしかなくて。20歳ごろまで、サイズを補うための義眼を装着できずに育ったので瞼が形成不全となり、義眼を入れても目を見開いたままのように見えるんですよ。 ――違和感なく、というのはなかなか難しいんですね。 リブ:こんなに見開く感じになるなら、逆に派手なものを作ってほしいとお願いしたのですが断られてしまいました。ならばと、「見開かないように少しでも調整してほしい」とお願いしたら「この段階からまた作り直すんですか!?」というリアクションをされ、仕方なくその義眼を使っていました。だからか、しばらくは愛着が持てませんでしたね。

「自分で義眼を作ること」を決意

――「他の人には入れられないような目」から、義眼のデザインを具体的にイメージするきっかけとなったことはありますか? リブ:私は映画や音楽や小説が好きなんですが、『ラストアクションヒーロー』(米:1993年公開)という映画に出会ったのが大きかったです。チャールズ・ダンスという俳優さん扮するベネィクトという登場人物が義眼で。登場シーンごとにつけている義眼の柄が変わるんですよ。ニコちゃんマークだったり、銃のスコープのマークだったり。それを見て「こんな義眼を作りたい!」「なるべく本来の人体とはかけ離れた雰囲気の義眼がいい!」と思いました。 ――それはいつごろですか? リブ:本格的に動き出したのは19歳ごろです。でも、お願いしても断られることがほとんどだったんです。かなり探したんですが、なかなか見つかりませんでした。それなら、自分で義眼を製作する技術を習得しようと思ったのですが、専門的に学べる環境は日本にはほぼないんですよ。手探り状態のなか、ネットや文献で様々な情報を収集し、独学で義眼を製作する技術を学ぶうちに海外在住の義眼技師さんと出会いました。 ――デザイン義眼の一歩目ですね。 リブ:その時は、材料的にも技術的にも難しくて、なかなかうまくいかず一度は諦めたんです。
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“理想の自分”が写真に写っていた
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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