ちなみにこの居酒屋の店内に防犯カメラはあったが、これを機にセクハラ男性客のグループがいつも陣取る席の近くにセットし直したとか。そして、そのチャンスはそれから一週間も経たないうちに訪れた。 「オーナーからは『二度と顔も見たくないと思うからその客が来たら厨房に回ってもいいけど……』とも言われましたが、私が接客すればセクハラする可能性が高いと思って『ぜひやらせてください！』と立候補しました。この日はあえて警戒を解き、背中を向けたりしていたのですがそしたら案の定、お尻を触ってきました。だから、私はあえて大げさにキャーッ！！と叫んで騒ぎを起こしました」 　もちろん、これはオーナーからの指示。彼は当日不在だったがセクハラを働いた場合、その時点で退店させるように店長に指示していた。それに従って店から出て行くように促すと全員逆ギレしてきたものの、これ以上騒ぐようなら警察に通報すると告げると渋々出て行ったという。 「ところが、店を出た直後に大きな物音がして確認すると入口にあった立て看板が倒れており、ヒビが入っていました。入口にもカメラを設置しており、オーナーが後で確認するとこのグループの1人が蹴り倒していたんです。それで彼らの勤めている会社にセクハラの件と合わせ、証拠付きで厳重な抗議を行ったそうです」 　実は、セクハラ客のグループがどの会社に勤めているのかオーナーは知っており、さらに経営者仲間として交流もあったとか。さすがに会社をクビになることはなかったが全員出入り禁止となり、再三にわたって愛美さんにセクハラ行為をした男性は遠方への異動を命じられることに。 「後日、その会社の社長さんが来て、『ウチの社員が本当に済まなかった』と謝罪してくれました。ただ、これはオーナーから聞いた話ですが、その方は職場でもセクハラ問題を起こしていたらしく、もともと社内でも要注意人物だったみたいです。左遷で済ますなんて少し甘い気もしますが、セクハラ野郎にふさわしい末路だったと思います」 　お酒が入って従業員や周りの客にちょっかいを出す人を時々見かけるが、これも立派な迷惑行為。取り返しのつかないことになる前に自重してもらいたいものだ。 ＜TEXT／トシタカマサ＞ ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。