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住宅の浴室選びは「下位グレードが正解」。“コスパだけじゃない”理由とは

浴槽もミラーも「大きければいい」はまちがい

furo002「湯船が広いワイドサイズもありますが、はっきりいって必要ない。ホテルの大浴場や旅館の露天風呂などに入ったはいいものの、居場所がなくて隅に縮こまっていたという経験は誰にでもあるはず。あれと同じで、人は、体を預ける支えのない浴槽というのは逆に落ち着かないのです。しかも、水道代がかかるうえに、掃除の負担が増します。普通サイズで十分。また、ミラー選びにも気をつけてください。ワイドミラーといって横長の鏡は、ミラーに浴槽の湯気が当たり続けるので、ミラーの裏にカビが発生しやすくなります。浴室にいる人間は、立ったり座ったりと、上下に動くものなので、縦型のほうが使いやすいでしょう」 カビの話に付け加えるなら、バスルームには「窓はなくていい」と押村は考えている。壁と窓では断熱性能に相当な差があるため、窓があると浴室の湿気で「窓に結露が出る」というのが、その結論だ。 furo003「現在の住宅は、断熱・気密性能が上がっているので、窓で換気するのではなく、換気扇を回したほうが確実です。例えば冬場に窓を開けて冷気を浴室に入れると、温度差で窓が結露しカビやすくなります。最後にドアの話をしておきましょう。バスルームのドアで多いのは折れ戸ですが、清掃性が悪いので避けてください。オススメは開き戸です。レール部分がないので、清掃性が高い。引き戸は汚れやすいのと、戸を引く部分のスペースが必要なのが難点です」 また、浴槽や床、壁の色については「黒だけは避けよ」とのこと。水アカが白く残り、清掃性は最悪とのこと。注意されたし。 〈取材・文/ツクイヨシヒサ〉
(おしむらともや)スタイラス所属。20代で建築、都市計画、インテリア、暮らしについてカナダ、アメリカで学び、輸入住宅などを手掛けるも挫折、住宅とは何かを見失う。大手ハウスメーカーや大手デベロッパーにコンサルティングして感じた「業界の嘘」と「都合の良い慣習」に納得できず、悪しき慣習にまみれた日本の住宅づくりからの逸脱が始まり、住宅業界の異端児となり、1000棟以上の建築設計を手掛ける。2022年7月にYoutubeチャンネル『ジュータクギャング』を開設。近著『美しい家のつくりかた

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1000軒の家を建ててわかったこと

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