“観光客激減”の金沢市リポート、人気店でも「赤字ギリギリ」「気にせずに来てほしい」
能登半島地震の発生から約半月が経った。県内の死者数は200人を超え、2万棟以上の住宅被害が確認された。被害は今もなお拡大している。
金沢を代表する茶屋街のひとつ「ひがし茶屋街」。市内屈指の人気観光スポットだが、土日明けの15日正午過ぎに訪れてみると、驚愕の景色が広がっていた。
まるでゴーストタウンかのように人がいない。外国人旅行者を中心にちらほらと観光客はいるものの、辺り一帯は静まり返っていた。和菓子などを提供する茶房の従業員はこう語る。
「普段は時期や曜日に関係なく人がたくさんいるのに、地震を機にパッタリといなくなりました。お客さんが来ないから、臨時休業中のお店も多いです。芸妓さんたちも宴会が減っていると聞いています」(茶房従業員)
茶屋街の近くにある喫茶店の店主も、「13、14日は土日で茶屋街も少しだけお客さんが多かったけど、それでも地震前の1割もいない感じでした」と話す。
「コロナの時でも、もう少し人はいた気がします。何十年もお店をやっているけど、こんなに観光客がいないのは初めて。この店にもよく来てくれていたのですが、いまは正直、売上が厳しいです。観光客にとっては、ゆっくり観光できるチャンスだと思います」(喫茶店経営者)
“金沢市民の台所”として親しまれている近江町市場は、じつに寂しい光景が広がっていた。
やることが何もないといった様子で、ぼんやりと通りを眺めている従業員も多く、その姿には胸が切なくなった。
とある鮮魚店の従業員によると、「千葉や北海道など他県からの入荷はあるが、金沢港や能登港の漁船が動いていないので、地産の魚は年末に仕入れていた分や生簀に入れていたものを出している」という。
「地震前は時期に関係なく、毎日初詣のようにお客さんであふれ返っていました。市場はコンクリート造りなので、地震の被害は物が落ちたくらい。直後には避難所にもなっていましたよ。翌日から営業再開していた店もありましたね。コロナが落ち着いてからは街も外国人観光客を中心に賑わっていて、『ここから盛り返そう!』とみんなで意気込んでいたところでした」(鮮魚店従業員)
漁港の被害は海産物加工品にも影響している。能登半島に工場を置く業者と取引していた店では、今後の仕入れの目途が立っていないそうだ。
「工場が半壊してしまったそうで、ウチも在庫がある分だけです。欲しい人は早い者勝ちって感じですね。転売されないといいけど……」(加工品販売店従業員)
そんな中、震源地から100キロ以上離れた金沢駅周辺の観光地が大打撃を受けていると話題だ。地震発生時、震度5強だった金沢市中心部では、揺れの強さに反して大規模な被害が発生せず難を逃れた。石垣が崩壊した金沢城など一部の施設を除き、通常通りの営業を再開している。
ところが、「観光客が激減してガラガラ」といった情報が、三連休前よりSNSで流れるようになり、実際に近江町市場などの人気スポットで影響があったと報道されている。
街の状況や人々の生活はどうなっているのだろうか。1月14日、15日にかけて筆者は現地を訪れ、観光業や飲食業に携わる地元の人たちに話を聞いた。
人気の茶屋街は臨時休業でゴーストタウン化
石川県産の魚は入荷の予定が立たず
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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