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“観光客激減”の金沢市リポート、人気店でも「赤字ギリギリ」「気にせずに来てほしい」

若者たちは「不謹慎だけど慣れてしまった」

堅町通り

堅町通り(2024年1月14日21時頃撮影)

 一方で、古着屋やアニメショップなど、若者向けの店が集まる堅町通りは、街の様子も少し違った。地元の若者の話を聞くために入ったコンセプトカフェ(コンカフェ)のキャストによると、「人通りが減ったという印象はない。ウチの店もお客さんの数は変わらないし。木倉町と堅町では客層がぜんぜん違うので、おじさんが多い木倉町は状況が違うのかも」と教えてくれた。  大地震を初めて経験したであろう彼女たちは、今回、何を思ったのだろう。 「地震のときは家にひとりでいました。怖いというより『揺れてるー!(笑)』っておもしろかった。でも、その後に津波の警報がきたから、現実じゃないみたいで怖くなったな。家に誰もいなかったから、逃げればいいのか、どうすればいいのか分からなくて。外出していた家族は無事だったけど、最初は連絡がつかなかったから『死んじゃったんじゃないか』って不安でした」(コンカフェ嬢・17歳)  続く余震には、「不謹慎だけど慣れてしまった」そうだ。 「さいきんは早朝のヘリコプターの音がうるさくて困っている。朝4時になると一気に飛んでくるの。夜型人間で朝に寝る生活をしているから、ぜんぜん眠れない。地震から少し経って日常が戻ってきているけど、揺れるしヘリもうるさいし、気持ち的には落ち着かないかな」(同)  専門学校に通う別のキャストは、地震の影響で冬休みが14日まで延びたと語る。 「家族で愛知県のおばあちゃんの家にいたから、みんな無事でした。愛知でもかなり揺れましたね。本当は2日に金沢に戻ってくるはずだったんですが、電車が止まっていて。いつ動くかも分からなかったから、スマホやTVでずっと運行情報をチェックしていました。  ちょっと怖かったのは、インスタのストーリーが『〇〇で人が下敷きになってる助けて』『誰々を探しています』って投稿で埋まっていたことかな。しばらくはそんな投稿ばっかりでした」(コンカフェ嬢・19歳)

打撃を受ける観光業。政府の支援は期待できず

金沢城公園

地震により一部被災し、閉園中の金沢城公園(2024年1月15日撮影)

 今回、金沢市中心部の各地であらゆる年代の地元の人たちと会話を交わしたが、やはり高齢者になるほど「何気ない日常を過ごせなくなって不安」と口にしていた。どのエリアでも観光客の激減が理由で休業している店が目立ち、街全体の経済活動は危機に瀕している。  政府は11日、休業を余儀なくされている宿泊施設や飲食店などに支援を行う方針を明らかにした。ただし現時点では、災害救助法の適用を受けた中小企業に対してのみと発表されているため、地震の物理的被害の少ない金沢市には適用されない。林芳正官房長官は「観光業も含めた包括的な支援策」を行う方針も示したが、おそらく能登半島を中心とした被災エリアに限られるだろう。
兼六園

兼六園は一部エリアを除き営業を再開(2024年1月15日撮影)

 3月の北陸新幹線金沢・敦賀間の延伸開業を前に、「風評被害」に晒される金沢市。地元で商売を営む人たちは、「金沢の人たちは普段通りの生活を送っている。だから気にせずに来てほしい」と切実な声を上げている。 <取材・文・撮影/倉本菜生>
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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