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韓国野球の“打撃力が低下した”理由…「低反発バットの導入」で日本も同様の未来が訪れる可能性が

「投高打低」の傾向が強まるかも

低反発バットの導入によって、まず予想されるのは、今よりも「打力が下がる」ことだ。具体的には、今までよりもバットの太さが67mmから64mmに細くなり、打球速度が変わると言われている。 高校野球の場合は、身体ができていない高校生がプレーしているため、少なからず金属バットによる恩恵があった。にもかかわらず、投手に関しては以前よりも球速が高速化しており、「投高打低」の傾向が強くなると予想されている。 繰り返すが、プロ野球と比較すると体格が出来上がってないことから、外角のボールを長打にしにくいため、投手の外角攻めはさらに増える可能性は高い。外角のストライクゾーンが広めに取られることもあるため、外角に投げることはメリットしかない。

低反発バットが「個の成長」を止める可能性も?

打者目線で見ても、低反発バットにより、以前よりも深層心理の部分で打球が飛ばない意識がつくためである。そのため、無意識に遠心力をつけようとすることから、打者のフォームもテイクバックの際に、肩が入り過ぎてしまうことも増えていくと予想している。 このことから、ミートできる確率が下がってしまい、ヒッティングの数が減っていく傾向も可能性としては考えられる。これを踏まえてると、心理的な部分を含めて打者が不利の状況は、この先も続いていくだろう。 懸念としては、統一球が導入された当時のプロ野球のように、低反発バットの導入が選手の成長の妨げになる可能性も高い。2011年から2012年はシーズンを通して3割打者がほとんどいない状態で、投手は防御率1点代から2点代がほとんどだった。つまり、打者と投手に対し、正常な評価をすることも難しい時期になっていた。 そのため、高校野球からドラフト候補を見つけ出すスカウト泣かせの時代にもなるかもしれない。
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「打力が低下している」韓国球界。その理由は…
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野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55

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