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「阪神の査定」が甘かった時期も…“パワプロシリーズ”の能力査定を振り返る

「阪神の査定」が甘かった時期も?

さらに、偏見が入るかもしれないが、「阪神の査定」が甘かった時期もある。具体的には、『11超決定版』の関本賢太郎(当時:阪神タイガース)である。 発売された年(2004年)の成績は、打率.316、5本塁打、41打点、4盗塁、OPS.805である。能力は、弾道3、ミートC、パワーD、走力D、肩力E、守備力E、エラー回避Dだった。規定打席に届かなかったものの、打率.316を記録して特殊能力のアベレージヒッターがついているのは、少々優しすぎる気が……。 この年のセリーグは、規定打席到達した選手で、打率.316以上を記録したのは5選手いた。その中でアベレージヒッターは、この年に首位打者を獲得した嶋重宣(当時:広島東洋カープ)のみである。ちなみに打率.312の前田智徳にアベレージヒッターがついているのは、それまでの実績も考慮されているからだろう。 私がこのシリーズの関本を査定するなら、特殊能力のアベレージヒッターを外す。これなら妥当ではないか。

もっと高くて良い「山本由伸の能力」

近年のシリーズでは、『パワプロ2022(アップデート前)』の山本由伸(現ロサンゼルス・ドジャース)の査定が話題になった。 発売前年(2021年)の成績は、18勝5敗、193.2回、勝率.783、206奪三振、防御率1.39である。四死球は42を記録している。 査定能力は、球速159km/h、コントロールC、スタミナA、カットボール2、ドロップカーブ5、SFF5である。 山本の場合は、このシリーズが発売される前年の2021年から2023年にかけてNPB史上初となる3年連続の投手4冠を達成し、3年連続で沢村栄治賞・MVPを受賞した。 さらに、沢村賞を受賞する前のシーズンを振り返っても、2019年に最優秀防御率、2020年に最多奪三振を記録しているため、NPB内の中で圧倒的な査定評価と言ってもよいだろう。 「BB/9=(与四球/投球回数)×9」というセイバーメトリクスの投手の指標の一つで、ストライクをとる能力を数値化したものがある。その指標を見ると、当時チームメイトの山崎福也は1.86でコントロールBを記録。対する山本は1.86であり、「コントロールをBにして、シュート回転を削除」が妥当ではないかと考える。
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パワプロは「野球ファンの裾野を広げた存在」
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野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55

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