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新星登場!五輪メダル候補を破った、高校生ダンサーISSINの闘志

Shigekix対ISSINのバトル ©JDSF

 パリ五輪の新種目ブレイキン。日本には有力選手が多く、ブレイキン大国とも呼ばれているが、そんな期待が高まる戦いがオリンピックイヤーの今年、ますます盛り上がっている。  今年のブレイキン「日本一」を決める、第5回全日本ブレイキン選手権の男子(BBOYと呼ばれる)の決戦では“下剋上”が起きた。絶対的エースでこれまで同大会3連覇中かつ大会4連覇が期待されたShigekix(本名:半井重幸)に、高校3年生のISSIN(本名:菱川一心)が勝利し、初優勝を遂げたのだ。

「殴り合わないボクシング」ブレイキン

 すでに日本唯一の五輪出場権を獲得しているShigekixは、現在世界ランキング1位。一方のISSINも同6位で、世界大会の経験を数多く重ねるトップ選手だ。そんな2人が、準決勝で激突した。「殴り合わないボクシング」とも呼ばれるブレイキン。その対決はバトルと呼ばれ、入場は赤と青のコーナーから各選手が入場する。  ISSINは、入場からただ歩いて入ってくるのではなく、幕が開いた瞬間、ゲート奥の足場に横向きで座るポーズでキメていた。観客をあっと驚かせる。いわば“つかみ”から場を支配し、バトルの合間にも声援を煽ると、持ち味の独創的で爆発力のあるパワームーブを炸裂させ、絶対的エースのShigekixを下した。会場が大盛り上がりだったのは言うまでもない。

本番で大技を成功!ISSINの度肝を抜くパフォーマンス

雄叫びをあげるISSIN ©JDSF

「ぶちかましたい」「ここには優勝しに来ている」  決戦前夜の予選からISSINの意気込みは溢れていた。「ぶちかます」は、ISSINが意気込みを明かすときのお馴染みのフレーズ。茶目っ気たっぷりにこう言ってはファンを魅了してきたが、この時は自嘲気味な笑みがこぼれた。 「ちょっと緊張しちゃって。ちゃんと自分のやりたいムーブを忘れないよう、身体もケアしてちゃんと精神統一したくて…精神統一しました。もちろん優勝が目標ですが、一番やりたいのは見ている人の記憶に残るようなダンスをすること。ラウンドロビン(予選)を勝ち上がらなきゃって、すごく考えたけれど、結果が出た時は楽しんでいた時だから、『大丈夫、大丈夫』って言い聞かせて、楽しむ気持ちを思い出していました」  ステージを降りれば、どんな質問にも説明を尽くそうとする好青年。ISSINはその言葉どおり、勝負の決戦で人々の記憶に残るようなパフォーマンスを披露して、Shigekix以上に場内を沸かせた。また、その一つが新技の披露だった。大会後の会見で胸中を明かしている。 「名前はちょっとダサいんですけど、『足持ち肩キャッチ』っていいます。成功率の低い新技だったんですが、ちゃんとばっちり決まりました」  成功率の低い大技を本番で披露するダンサーはあまりいない。失敗すれば減点されるリスクがあるからだ。だがISSINはShigekixに勝つには、新技を出すしかないと全3ラウンドの1ラウンド目から出したという。同技は、名前のとおり足を手で持ちながら肩で着地させつつ回る複雑でダイナミックな大技(パワームーブ)だ。 「正直、シゲキ君(Shigekix)対策はめっちゃ考えました。でも、もともと観客を巻き込む踊りをするのが大好き。一番お気に入りの大技も全部出して、出し尽くしました。大歓声も力になりました」  大勢のメディアに囲まれながら、ISSINは無邪気な笑顔で語った。
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同じく高校生、Hiro10と優勝をかけた決戦
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