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新星登場!五輪メダル候補を破った、高校生ダンサーISSINの闘志

同じく高校生、Hiro10と優勝をかけた決戦

バトル前に笑顔の高校生、ISSINとHiro101 ©JDSF

 準決勝でShigekixを下したISSINの決勝戦の相手は、同じ高校生でともに切磋琢磨してきたHiro10(本名:大能寛飛)。彼も世界ランキング11位でISSINと同じくパリ五輪を目指し、今大会の優勝を目標に掲げてきた。Hiro10もダイナミックなパワームーブを武器にしている。  感動的だったのは、決勝戦で音楽が鳴り始めてバトルがはじまった瞬間、ムーブを出す前にISSINがHiro10に近づいていって握手をした場面。ハイパフォーマンスディレクターを担う渡邊将広(Marrock)さんが明かしていた見どころである「バトル前後のリスペクト」のシーンだ。ステージから「共に全力を尽くして戦おう」という心意気が伝わり、またしても場内のエネルギーをISSINが吸収したかのように感じられた。 【参考】⇒金メダル有力日本人選手に注目!パリ五輪新競技・ブレイキンの魅力  事実上の決勝戦となったShigekixとの準決勝で、ISSINは大技や新技を出し切ったというが、その引き出しは多い。それらをISSINいわく「最高の熱量で、もっとフォーカスしてぶつけた」結果、Hiro10も「そういった差が出た」と認める優勝劇となった。

準決勝でまさかの敗退、エース・Shigekixのプライド

日本の絶対的エースShigekix ©JDSF

 驚くべきは、準決勝で敗れたShigekixが、その後の3位決定戦でさらに生き生きとしたパフォーマンスを披露したこと。準決勝で敗退し、4連覇がついえた直後の戦いにもかかわらず、見事に切り替えて圧巻の実力をみせつけたのだ。 精神的にも体力的にも最も厳しくなった局面。それらを一切感じさせることなく、楽しげな表情と無尽蔵のスタミナで、持ち味のミュージカリティをさらに発揮。見ている側が自然とリズムに乗ってしまうほど音楽との一体感あるムーブと、驚異のビタ止めフリーズをキメまくると、ISSINやHiro10と同世代で成長著しいTsukki(本名:飯沼月光)に圧勝し、文句なしの銅メダルを獲得した。

脅威の完成度を誇るShigekixのフリーズ ©JDSF

 その後の会見でもShigekixは「負けはには学ぶことが必ずある」とさらなる課題克服を誓っている。これを機に、さらに磨きをかけて強くなるのだろう。  そんな絶対的エースに勝利したISSINは語る。 「シゲキ君はずっと前から世界で活躍していて、YouTubeで見て憧れていた存在。自分も頑張ってきて倒したい相手になったけれど、いつも負けていた。シゲキ君に勝ちたくて仕方なかった。やっと勝てました」  とはいえ、5月からオリンピック予選シリーズがはじまる。代表切符を勝ち取るため、喜んでいる場合ではないとばかりに言う。

日の丸に思いを馳せる選手たち ©JDSF

「今はめちゃめちゃ嬉しいけれど、時間がない。いま帰ってすぐにでも練習をして、また新しい動きを開発したいです」  優勝した直後にして「すぐに練習したい」という。日本のトップ選手たちの飽くなき探究心と切磋琢磨は止まらない。今年のオリンピックでのメダル獲得にも期待が高まるわけなのだ。 取材・文/松山ようこ
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