更新日:2024年03月07日 18:22
ライフ

「10年間で115駅」が廃止になったJR北海道。“もうじき営業終了”の5駅に足を運んでみた

③愛山駅

愛山駅

プレハブ小屋風の愛山駅

 続いて向かったのは、石北本線の愛山駅(北海道愛別町)。目の前を旭川と北見・網走方面を結ぶ国道39号が走り、車の交通量は地方にしては多い。  ホームは初野駅同様、2両分程度の長さしかなく、1日に停車するのは上下線合わせて11本。この区間を走る普通列車は本来16本あるのだが、うち5本は通過してしまう。  ほかの廃止予定駅のように愛山駅も利用客減少に悩まされ、JR北海道が公表する『駅別乗車人員』によると17~21年の1日あたりの同駅の平均乗車人員は2.6人。これは石北本線の駅では2番目に少ない。
愛山駅

雪を舞いながら通過する回送列車

 待合室はホームからT字路を越えた25mほど離れた場所にあるが、駅名とJRのエンブレムがなければただの物置小屋にしか見えない。しかも、中には除雪用具が所狭しと置かれており、冗談抜きに物置兼用となっているようだ。  あと、個人的に気になったのは、通常駅では見かけることがない通過列車の時刻表が待合室にあったこと。鉄道ファンが貼ったものだと思うが、通過列車が多いため、きっと多くの撮り鉄たちが感謝したに違いない。

④滝ノ上駅

滝ノ上駅

今春廃止の駅ではもっとも古い1897年開業の滝ノ上駅

 そして、次は石勝線の滝ノ上駅(北海道夕張市)。新千歳空港から40㎞圏内と比較的近いが、1日に停車する列車の本数はたったの5本。そのため、大半の鉄道ファンは昼間に唯一アクセス可能な12時到着の列車で千歳方面から訪れ、新夕張駅始発の折り返しの千歳行き普通列車が来る12時49分まで滞在する。  筆者もこれを利用したが、訪問したのは快速・普通列車の乗り放題『青春18きっぷ』の利用期間外の1月の某週末。それでも10人以上の鉄道ファンが滝野駅で下車し、全員がカメラやスマホでひたすら写真を撮りまくっていた。  2つのスノーシェルターの間に位置する滝ノ上駅は、今春廃止になる駅ではいちばん歴史が古く、開業は1897年(※当初は貨物駅。旅客駅となったのは1901年から)。最盛期の1965年の乗車人員は年間6万6156人(※『改訂増補 夕張市史 下巻』より)だったが炭鉱閉山後は利用客は減少の一途を辿り、17~21年は1日平均3人以下(※JR北海道『駅別乗車人員』より)と2万2000分の1以下に激減している。駅に発着する1両ワンマン列車に不釣り合いな長すぎるホームは当時の名残だろう。
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中ノ沢駅
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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