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「オラ!早く行かんかい!」穏やかで優しい上司が車に乗ると豹変…退職が頭をよぎった“地獄の研修期間”

話に集中しすぎて運転が恐ろしい

「しかも話に集中しすぎて、運転が恐ろしすぎるのです。運転しているのに、ほぼこちらを見て話してくる。だから当然、超ノロノロ運転。また、Mさん的には何かを察知しているのか、何もないところで急ブレーキを踏んでくるので、その度に前のめりになります」  武田さんは「これが社名の書いてある車だったら、Mさんはとっくにクビになっていただろうな。この人は、こんな運転をしていて事故を起こしたことはないのだろうか?」などと考えながら、ずっとヒヤヒヤしていたとか。 「自分の運転が悪くてぶつかりそうになったり、クラクションを鳴らされたりしているのに、相手のせいにして罵倒するのです。でも、窓を開けて怒鳴ったりはしません。文句を言うときは、ピッチリと窓を閉めてから。前の車を煽ることも頻繁にありました」

なぜか社長は上司をべた褒め

上司 けれどそれも、前方の車にピッタリとくっついて煽るわけではなく、信号待ちなどのタイミングで相当な距離を取りながらエンジンをふかし、「オラ!早く行かんかい!」などと罵倒するという具合。前方の車との距離が縮まると急ブレーキを踏むなど、とにかく危ない。 「助手席側に付いているアシストグリップを掴んでいたのですが、掌は汗でびっしょり。何度もスーツのズボンで拭きながら握り直しました。こちらの気も知らず、Mさんは、ずっとご機嫌。しかも、サングラスを外して車から降りると元に戻るのでタチが悪すぎます」  営業先では普段の穏やかで紳士な印象に戻るMさんに恐怖を感じ、会社に帰ってコッソリとMさんについて探りを入れてみたが、誰も悪く言う人はいない。むしろ、人間性を大絶賛。誰も、Mさんの二面性について知らない様子だった。 「ただ、翌日には僕の歓迎会も予定されていたので、そこで社長に相談しようと考えていたのです。人数が少ない会社ということもあり、社長と2人で話す機会もあったのですが、Mさんのことはとにかくベタ褒め。残念ながら、相談できる雰囲気ではありませんでした」
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研修期間が終わってもモヤモヤ
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フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意

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