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「脚の長さを測られて『短い』と笑われたことも」DV被害者の“30代娘”が語る両親との絶縁

高校生になって初のゴールデンウイークで

「児童養護施設に出かけて『養子をくれ』と施設長に直談判して、もちろん断られて帰ってきたこともあります。また孫を異常なまでに欲しがっており、私が結婚の見込みがなくて孫の顔を見せることができないから、突発的に取った行動だと思います。私と姉という実子が2人もいるのに養子をもらおうとすることが、子どもをいかに傷つけるかといったことがわからないんですよね」  さらに事件は、彼女が高校生になって初めてのゴールデンウイークで学校から大量の課題を出されたときにも起きた。 「入学したばかりでやる気に満ちあふれているので、当然頑張って全部こなすつもりだった。ところが母が事前になんの相談もなく、勝手にツアー旅行を申し込んでいたんですよ。『課題があるから旅行には行けない』と言うと、文字通り泣きながらわめき散らして……。結局旅行には参加して、課題はできずに学校で恥をかきましたね。どこを観光したのか今でもまったく思い出せません」

両親に内容証明を送り絶縁

 現在は会社員として働くかたわら、「書籍やネットで精神医学の勉強を続けている」というかな子さん。 「親を発達障害と解釈することでいろいろと腑に落ちました。虐待は発達障害だけがもちろん原因ではなくて、両親自身のトラウマもあると思います。両親がトラウマに対して無知・無自覚だったから、感情的になっていたということもあるのかもしれません」と冷静に分析する。  また、彼女自身は15年以上精神科通院を続けているという。「20歳で東京の大学に合格したんですけど、両親は当然学費など出してくれませんから、日経新聞の新聞奨学生となりました。命からがら実家を脱出しました」という経緯がある。  2022年、35歳となってようやく親が子どもに暴力を振るうのは普通ではないと気づいたという。弁護士を介し両親に内容証明を送付し、絶縁した。「遺産はいらないから、もうあなた方と関わることはできない、といったシンプルな内容です」と語る。
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当事者が語る「毒親問題への処方箋」
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ライター。東京都在住。ギャグ漫画をこよなく愛する。好きな作品は『スナックバス江』、『無能の鷹』など。分野は医療や福祉、学問が中心だがなんでも書きまくりたいと思っている。積極的に取材も行う
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