更新日:2017年09月19日 13:35
デジタル

iPhoneだけで作られたテレビ番組!? 鹿児島放送の挑戦とは

KKB鹿児島放送

KKB鹿児島放送「Kingspe」より

 KKB鹿児島放送で、iPhoneで撮影した番組が放送され話題となっている。iPhoneで撮影されたのは、同局で毎週金曜日深夜24時20分から放送中の情報バラエティ番組「Kingspe(キンスペ)」4月20日放送回。「実験!iPhoneで番組ができるか?」と題し、iPhone4Sで撮影した霧島市国分のグルメリポートの映像がおよそ19分間、30分の番組中2回に分けて放映された。  これまでも携帯電話のカメラのみで撮影されたPV、ショートフィルムなどが話題になることはあったが、今回は国内民放局の取り組みということもあり、ネット上でiPhoneユーザーを中心に注目を集めている。  確かにiPhone4Sのカメラは800万画素、フルHD動画撮影可能と、携帯電話内蔵カメラの中でも高スペックで、外部マイクやレンズなど周辺アクセサリーの種類も多い。しかし地上波のクオリティに耐えうるだけの映像を、問題なく撮影することができたのだろうか。実際に番組を制作したKKB鹿児島放送番組担当ディレクターに、iPhoneカメラの使用感や、撮影時の工夫について話を聞いてみた。 「使用機材はiPhone4Sの64GBを2台、アップルジャパンさんからお借りして標準のカメラアプリで撮影しました。マイクはfostexさんから特別にお借りした『AR-4i』とインタビュー用に放送用のピンマイクを使用しています。また風景やお店の外観など、広い画を撮影するときには、市販のiPhone専用の広角レンズアタッチメントを使いました。2、3千円程度の安いものなので、少し周辺がボケてしまうのですが、それが逆にフィルムのような、不思議な柔らかい映像になりましたね」 「放送用のハイビジョンカメラに比べると当然画質は落ちますが、静止画や動きの少ない映像であれば、十分放送に耐えうるクオリティで撮影できます。ただ早い動きに弱いためブレやすく、標準のカメラアプリはズームイン、ズームアウトができません。なので撮影はカメラをあまり動かさず基本に忠実に、出演者もそれを意識してか、カメラに合わせて料理を動かすなど、普段はあまりしない動きでフォローしてくれました。編集もオーソドックスな編集にしてあります。 iPhoneを一脚の先につけて鍋の中を撮影するといった、大きなカメラでは難しいカットや、CMなどで使用する大きなクレーンを使った面白い映像も撮れました。専用のカメラよりも緊張感が少ないのか、出演者やレストランの方もリラックスした自然な表情で映っていますね。また、大きいカメラが入ると他のお客様の迷惑になるから、という理由で普段は取材が難しいお店にも、iPhoneで撮影することでOKを貰えたのも良かったです。予算もテープ代程度ですが、少し安くあがりました」  撮影や編集や出演者の表情の変化まで、やはりiPhoneカメラならではの工夫や特徴があるようだ。最後に放送後の反応と今後について聞いてみた。 「放送前からニュースサイトなどで取り上げていただき、ツイッターのフォロワーが増えました。県外の方からはもちろん、韓国のユーザーの方にも番組を紹介する形でツイートされたりと、好意的な反応を多くいただいています。iPhoneだけでこういう事もできるんだ、と思ってもらえると嬉しいですね。今回の撮影でiPhoneカメラのいい所や弱点もわかったので、またチャレンジしてみたいです」  今後も更なる高機能化が予想される携帯電話のカメラ機能。これらの新しい機材や技術がコンテンツ制作にどう活かされるのか、引き続き注目していきたい。 <取材・文/日刊SPA!取材班> ◆参考リンク KKB鹿児島放送「kingspe(キンスペ)」公式サイト http://www.kkb.co.jp/jisya/kingspe/index.htm Twitter http://twitter.com/kingspe5
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