オーナー社長への“花のプレゼント”を強要される23歳女性社員。「あなたはかわいい」にア然
自分が納得できない指示を入社早々にされ、拒んだ。どうしても理解ができなかった。だが、職場では浮いた存在になりつつある。この時、あなたならどうするか――。
小中学生が通う学習塾(正社員数200人、講師500人)に今年4月に入社した児玉由美(仮名・23歳)は早くも辞めたくなっている。社内で浮いた存在になり、孤立感を味わっているからだ。
きっかけとなったのは、創業者であり、オーナー社長の60代の社長の誕生日に、お祝いとして花束を渡すことを拒んだからだ。人事部長の指示だった。人事部が購入する2万円を超える花をその年の4月に入った女性社員全員がひとつとなり、従業員を代表して直接渡す。
「おめでとうございます」と言葉を添え、たわいもない話を1時間ほどするのが25年以上前からの慣例であり、社内行事だ。
入社1週間後に人事部長から、その説明を受けた児玉は理解ができずにこんな質問をした。「なぜ、私が渡すのか」「どうして女が渡すのか。なぜ、男ではいけないのか」。
人事部長は、返答ができない。苦し紛れに「若いから」「オンナだから」「あなたはかわいい」などと述べた。児玉は理解ができずに、返事をしなかった。結局、ほかの新入社員の女性2人が花を渡すことになった。
この噂は、数日間で約200人の社員の大半に知れわたった。配属部署である管理部の上司らは児玉に遠慮をしたり、警戒の姿勢をとったりする。児玉は、「なぜ、意見や考えを述べることが許されないのか」と解せない。5月の連休を前に辞めたくなっている。
今回は実際に起きた事例をもとに、職場で起きた問題への対処法について考えたい。本記事の前半で具体的な事例を、後半で人事の専門家の解決策を掲載する。事例は筆者が取材し、特定できないように加工したものであることをあらかじめ断っておきたい。
事例:社長に新人の女性社員が花束を渡す
「若いから」「女だから」はハラスメント
ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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