更新日:2024年05月21日 14:58
仕事

オーナー社長への“花のプレゼント”を強要される23歳女性社員。「あなたはかわいい」にア然

回答「地方のオーナー経営の中小企業で見かけるケース」

 国際人事コンサルタントとして人事コンサルティング業や企業向け研修、職場環境改善指導、講演を行う奥山由実子さんに取材を試みた(以下、奥山さんへの取材をもとに構成)。 ========== 「まだ、こんなことをしているの?」と思いました。人事コンサルティングの経験でいえば、地方の中小企業でオーナー経営のところで時折、見かけます。都内でも小さな学習塾や幼稚園、病院などでありますね。さすがに大企業ではほとんど見ません。  なぜ、この女性が疑問を呈したのか、わかりますか? 「かわいいあなたが渡すべき」と言われたことに、これが仕事なのかと疑問に持ち、不快な思いをしたのではないかなと私は思います。しかも、人事部長は女性が納得できる理由を説明できていない。たとえば、こう言えば不満を持たなかったのではないでしょうか。「新入社員のうち、採用時の試験で成績がいい人が慣例として花を渡すことになっている。今年はあなただから、ぜひお願いしたい」。

”かわいいあなたが渡すべき”はハラスメント

奥山由実子

株式会社カルチャリア代表取締役社長・奥山由実子さん

“かわいいあなたが渡すべき”は欧米のグローバル企業ではハラスメントとして受け止められ、その言葉を発した人は問題視されるはずです。女性から訴えられ、解雇になるケースが多々発生しています。この約40年、欧米の企業では女性たちが男性と同じ待遇やポジション、賃金などを求めて闘ってきました。さまざまな形で争われてきた末に女性が一定の権利や立場をつかむことができているのです。  一部では、その影響で逆差別と指摘されるケースも増えています。たとえば、採用試験で上位10人を雇う時、仮にその10人を男性が占めたとします。女性がいないために、10人の男性のうち、下位の数人が不採用となり、その代わりに女性が雇われることが考えられます。おそらく、不採用となる男性は納得できないでしょう。それでも、欧米の国々は社会としては差別や不公平と常に真剣に向かい合っているのです。  日本の企業経営者や政治家の中に女性蔑視ともとらえられる発言をおおやけの場でする人がいますが、欧米では厳しい批判を受け、職を追われる可能性が高いでしょう。日本と欧米では、女性へのハラスメントや差別の意識に大きな差があります。日本がグローバル化を本気で推し進めようとするならば女性に対してだけでなく、年齢、国籍、雇用形態、人種、国籍などによる不平等は意識を大胆に早急にあらためるべきです。
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上場企業は無理にでも「女性管理職」を増やすべき
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ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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