中途採用の新人(28歳)を“ウソの悪評”で孤立させる先輩。優秀な若手を潰す問題社員の心理とは
先輩から身に覚えのないことを社内で吹聴され、職場で孤立しつつある。誰も助けてくれない。この時、あなたならどうするか――。
大企業メーカーの子会社(正社員数600人)に中途採用で昨年夏に入社した溝口信也(28歳・仮名)は、先輩社員の内田隆(33歳・仮名)から頻繁に言われる「ありもしない噂」に苦しんでいる。たとえば、次のものだ。
「君(=溝口)のことを、『勤務態度が悪い』と言っている先輩がいるよ」
「君のことを、先輩たちが『あいつはダメだ』と言っていた」
「経理の人が、君のことを『精算が遅い』と問題視していたよ」
溝口は、いずれも身に覚えがない。内田に「誰が言っているのか」と聞くと、答えようとしない。さらには、内田から部内(商品開発部、部員20人)にも吹聴される。
「溝口が、喫煙所以外の場所でたばこを吸っていた」
「溝口が、ランチの時に焼肉バイキングで食べていた。昼間から、あんなものを食べているんだ」
これらにも覚えがない。内田に確認すると「そんなことは言っていない」と言われる。
上司である部長や担当の執行役員は、溝口に盛んに声をかける。中途採用試験を経て入社し、期待されているのかもしれない。溝口は、企画力は優れている。企画化する以前の情報収集力、それを商品にする力などは、部内の先輩たちも一目を置く。内田は、それが気に入らないようだ。
内田は、部長や執行役員にも、溝口の言動の問題点を伝える。内田は部内でたったひとりで、溝口を攻撃する。それがあまりにもしつこいために、部内の社員は溝口に同情しつつも、しだいに離れていく。溝口はストレスがたまり、会社に行くのが苦痛になっている。上司らに相談したいが、話が社内で広がり、ますます孤立するのではないか、と心配する。内田の攻撃は、一段と過激になっている。
今回は実際に起きた事例をもとに、職場で起きた問題への対処法について考えたい。本記事の前半で具体的な事例を、後半で人事の専門家の解決策を掲載する。事例は筆者が取材し、特定できないように加工したものであることをあらかじめ断っておきたい。
事例:清掃会社にいる厄介な先輩
「ありもしない噂」で孤立するハメに
ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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