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石丸伸二「恥を知れ、恥を!」発言は、3日前から練っていた

“不正義”の実態を反転 可能性テストで明らかに

28-47 もちろん、これが通るはずもないことはわかっていました。ただ、議員を半分にしても議員1人あたりの人口は、広島県三原市と同水準ですから、「市民の声が届かなくなる」心配はありません。財政問題を理由に副市長枠を減らすのなら、議員も減らして当然ではないか? そんなメッセージを発する目的もありました。  議員定数半減案には、一部で「おとなげない市長」と批判的な声も上がりましたが、それは本質がわかっていないだけです。  私の取った手法は、反転可能性テストです。自分と他者が反転しても、受け入れられるか否かのテストです。ハーバード大学のサンデル教授の『これからの正義の話をしよう』でも触れられているとおり、「正義」の概念を分析する際にも用いられます。  これに則って、「(財政的余裕がないから)副市長を減らす」を「市議を減らす」という立場の反転を行ったわけです。結果、副市長は減らしてもいいのに市議は減らせないという“不正義”の実態を明らかにすることができました。 「恥を知れ、恥を!」という発言は、この議員定数半減案提出に際して、居眠りする市議、質問もせずにただいるだけの市議、説明責任から逃げる市議、そしてそれを容認する議会を批判するために発したものです。実は、3日ほど前からこのセリフを練っていました(笑)。  私は銀行員時代に年間50回の講演を10年以上続けました。つまらない話をしたら居眠りしてしまう人も出るし、銀行の信頼も損なう。だから、毎回ICレコーダーで録音し、どう話せば心に響くかを研究し続けました。そのなかには、印象的なフレーズをいかに盛り込むか、というポイントもありました。これが「恥を知れ」発言に繋がったのです。  市長と議会の対立が深刻化して、最も世間の注目が集まる場で、効果的なセリフで印象づけることまで計算していました。「恥ずかしいと思いませんか?」では弱い。「思う」「でしょう」などの弱い語尾の発言を繰り返せば、自信がなさそうに見えてしまうもの。これはビジネスシーンでも当てはまります。責任と裏付けを持って言い切る。そうして言葉の重みが生まれます。 <喧華作法> 印象的なセリフを効果的なタイミングで投入して議論をリードせよ 構成/吉岡 俊 撮影/初沢亜利
1982年8月、安芸高田市生まれ。三菱UFJ銀行を経て’20年に安芸高田市長に。市議会との衝突が話題を呼び、Xフォロワー数は40万人超、市公式YouTube登録者数は全国トップの25万人。趣味はトライアスロン
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