仕事

辞めていく銀行員に共通する退職理由3選。上司から「どうせ旦那の稼ぎがあるだろう?」

③家を買った直後に、地方転勤を命じられた

マンション今でこそ「同意なき転勤はさせない」という風潮に変わりつつあるが、昔は忠誠心を試すために、ここぞというタイミングで地方転勤を命ずることも多かった。 入社15年目で銀行を去ったCさんは、地方転勤を理由に銀行を去ったうちの一人だ。 「一ヵ店目は関西、二ヵ店目は九州でした。僕は東京出身で、東京の大学を出たので、全く縁もゆかりもない土地です。九州で奥さんと出会って、そのまま結婚したので、それは良かったんですけどね」 彼は三ヵ店目でやっと東京に戻って代理に昇格し、都内にマイホームを購入した。子どもが生まれて保育園も決まっていた。しかしその矢先に東北配属の辞令が出たのだった。 「奥さんは『いい加減にして!私も働きたいのに、これじゃどこでも働けないじゃない!』と怒っていました。九州から東京に来る時に、仕事はやめてもらっていましたから」 Cさんは頭を抱えた。人事部から、ある条件を出されていたからだ。

「課長へ昇格させてやる。ただし東北へ転勤しろ」

「人事からは『課長に昇格させてやる。ただし東北へ転勤しろ』と言われていました。住宅ローンもあったから、当初は単身赴任を選びました」 銀行では単身赴任手当は手厚く、帰省のための旅費も出してくれる。しかし、ビデオ通話や写真共有アプリでしか子どもの顔を見れない現状と、病んでいく妻の姿を見て「これは違う」と感じたという。 「人事部に辞めることを伝えたら、激怒されました。あと少し我慢すれば関東に返してやるとも言われましたが、もう付き合いきれませんでした」 彼は公務員試験に合格し、今は東京の行政機関で働いている。転勤の辞令に脅かされることのない、安定した日々を送っているそうだ。 ――日本では職業選択の自由がある。自分の幸せの価値観と照らし合わせて、「これはあまりに違いすぎるな」と感じた時は、彼らのように行動を起こすことも可能だ。転職するまではいかないにしても、部署異動や業務を変えることを検討しても良いのかもしれない。 <文/綾部まと>
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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