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松本潤、西島秀俊etc.「大物俳優の独立」が止まらないワケ。背景に“稼げる交渉人”の増加も

西島秀俊「ドラマより映画がやりたい」

 今年5月いっぱいでクォーター・トーンを離れた西島秀俊の場合、「事務所の皆さんと共に歩んだ日々は、私にとってかけがえのない宝物」と声明し、独立理由には触れなかったものの、やはり自由度の拡大を求めたものと見られている。  西島はまず1997年に大手芸能事務所・渡辺プロダクションを離れた。退社のわけは「ドラマより映画がやりたいから」と伝えられた。同社時代の西島はフジテレビ『あすなろ白書』(1993年)など数々のドラマに出演していた。  このほど退社したクォーター・トーンに入ったのは2002年。同社は新興勢力であり、当初は西島の個人事務所に近かった。同社入り後の西島は2010年ごろまで映画を中心に活動した。  1999年の主演作『ニンゲン合格』(黒沢清監督) や2008年の同『東南角部屋二階の女』(池田千尋監督)などで評価を決定的にしたあと、2021年の同『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)によって第94回アカデミー賞の国際長編映画賞を得た。  しかし、徐々にドラマの仕事が増え、このところはかなり多い。TBS『ユニコーンに乗って』(2022年) 、テレ朝『警視庁アウトサイダー(2023年)、TBS『さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜』(3月終了)と、立て続けに出演している。 「もっと映画の仕事がしたいのではないか。事務所に所属していると、どうしても断れない仕事が出てくる」(B氏)

松本潤、STARTOにいることの長短

 やはり5月いっぱいで独立した松本潤のケースも「金銭目的の独立とは考える人はいないでしょう」(前出のA氏)という。 「『嵐』はSTARTO ENTERTAINMENTとエージェント契約ですが、松本さんも同社に残ってエージェント契約を締結していたら、ギャラのうち7、8割が得られたのですから」(A氏)  松本は独立によって金銭とは違ったプラスがある。STARTO社勢の新規起用をストップしているNHK、テレビ東京の番組に出られる。 「両局の制限がいつ解除されるのか見通しが全く立っていない。松本さんの場合、STARTOにいると仕事の幅が狭まったままなので、独立したのでしょう」(A氏)  STARTOとの取引を停止しているスポンサーもある。TBS『日曜劇場』のスポンサー4社のうち、サントリー、花王、日本生命もそう。このため、松本は『日曜劇場』から声が掛かっているものの、STARTOを離れないと出演できないのだ。  同じ「嵐」の二宮和也(40)の場合、この7月からの『日曜劇場 ブラックペアン シーズン2』への主演を打診されていたため、昨年11月にスマイルアップ社(前身は旧ジャニーズ事務所)を退所した。松本は二宮に倣ったのだろう。
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多部未華子、黒木華のケースは?
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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