仕事

一部だけが潤う「医師の求人業界」にメスを。“儲からない”人材紹介プラットフォームが話題を集める理由

医師の仕事は「目の前の患者さんを救うこと」だからこそ

 生命を救う。その一点において、鎌形氏はこんな矜持を持っている。 「医師の仕事は目の前の患者さんを救うことです。そこには傷病までの経緯も人柄や思想も、何も関係ありません。勤務医時代は新宿で働いていたので、ラブホテルで不倫相手との行為中に心筋梗塞を発症した人もいれば、事故に巻き込まれてしまって重傷を負った若者もいて、さまざまな理由で人が運び込まれてきました。運ばれてきた当時は物言えなかった患者さんを蘇生させ、ICUでの管理を行い、目が覚めてリハビリを通して回復していくその日がくるように、私たちはひたすら力を尽くすんです」  友人たちの死を通して自らの使命と向き合った若き鎌形氏の苦悩が、現在の仕事に通じている。患者利益に資するためには、良い医療を提供すること――。シンプルで核心をついた命題でありながら、医師という人材の往来に付随する金銭については、これまであまり焦点化されることはなかった。いま、気鋭の医師がその確かな胆力で既得権益にメスを入れていく。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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