仕事

商社を辞め“やりがい”目指してオーストラリアに渡った20代男子の挫折「医療費を見てあぜんとした」

思い通りにならない新たな職場

海外就職

※画像はイメージです

 当初はオーストラリアに到着後、少しだけ観光しようと考えていた新井さんでしたが、いろいろな手続きに追われ、それどころではない状況だったといいます。 「渡豪して3日後には、オリエンテーションと実践業務を兼ねた忙しい日々が始まりました。採用から勤務までの早さにも驚きましたが、日本の会社とは大きく異なる仕事を教わりつつ、同時に自分で販路を開拓するというかなりハードな内容で、正直少し不安を抱いていました」  小学生の頃を香港とベトナムで過ごしたため、語学的な問題はなかったものの、どういうわけか新天地でのコミュニケーションにも苦戦したといいます。 「どういうわけか、微妙な意思疎通や、少し突っ込んだディスカッションが思うようにいかないんです。これまで私が過ごしていた国がアジアだったからなのでしょうか。職場の人たちとの間に大きな壁を感じてしまうんです。自分でもその理由がわからないまま、忙しい日々が続いてました」  それでも自分で決断した道だからと、周囲の人たちよりも一生懸命に仕事を学んだそうです。

身も心もくたくた。無念の帰国

 しかし、新たな仕事に就いて3カ月ほどたった頃から、原因不明の発熱とけん怠感に襲われます。ある日どうしようもないほどつらい状況に陥ったため、自ら救急車を呼んで病院へ行きました。 「その日はいったん入院し、翌日から精密検査が始まりました。結局10日間も入院したのですが、病の理由は分からずじまいでした。最終的には“メンタルが起因しているのではないか”と主治医から告げられました。慣れない職場で奮闘した代償なのかもしれません」  入院と聞いて駆けつけてくれたイギリス人の上司に感動するも、オーストラリアの医療費に腰を抜かすことに――。 「病院で請求された医療費を見てあぜんとしました。救急車に乗っただけで10万円以上かかり、検査料も入院費も日本の数倍以上の金額でした。日本にいる父親に急きょ海外送金してもらい、なんとか支払いを済ませ、体調が落ち着いてから会社に退職の意向を伝えました」  帰国後はすっかり体調が良くなったものの、中途半端なキャリアは何の役にも立たず、就職活動もゼロからやり直さなければならない日々を送っているそうです。 <TEXT/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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