「おばちゃんになる覚悟はできたのか?」 久保みねヒャダ、6年のおしゃべりを振り返る
マンガ家の久保ミツロウ、文筆業の能町みね子、音楽クリエイターのヒャダインによる、フジテレビのトークイベント『久保みねヒャダこじらせライブ』が人気です。そんな3人の約6年分のおしゃべりを記録したトーク集が『カウンセリングするつもりじゃなかった〜久保みねヒャダこじらせ雑談』。その出版記念に、久保みねヒャダの3人に、それぞれ気になる回を挙げていたただきました。
久保 改めて読んだけど、どこから読んでも面白いなって。これは私らの感想であって、他の人もそう思ってくれればいいんだけど。でもトイレに置いておくのに最適ではある。
能町 トイレに置きましょう! 1トイレに1冊。
久保 どの回もけっこういいんだけど、私としてはコロナ禍の前、まだ自分がこじらせてない頃のスカッとした感じが読みやすかった。 みんなでうんこの話をしてた回があったじゃないですか。
──何回かしてると思います。
一同 (笑)
久保 「お前が話したいのは、どのうんこだい?」
能町 「うんこって素晴らしいですよね」と言わせるやつですか?
久保 そう、それ。「返事の追い越し」の話。
──ああ、相づちが形骸化してる人の話ですね。
——(引用はじめ)——
久保 理解のスピードが速すぎる人は疑わしい。「お前にわかるかよ!」って思う。(中略)ヒャダインさん、「うんこ」しか言わないで。私がさっきのお弟子さん筋の人やるから。
ヒャダ 「うんこって茶色いですよね」
久保 (頷きながら)「うーん、わかるわかるー、そっかそっかー」
ヒャダ 「うんこって臭いですしね」
久保 (頷きながら)「うーん、うーん」
能町 「でも私、うんこってきれいだと思います」
久保 (頷きながら)「そっかー、うーん」
能町 「うんこって、この世で一番美し……」
久保 (食い気味に頷きながら)「うんうんうんうーん!」
(TALK-09「どんな相づち打ってますか?」より)
——(引用終わり)——
久保 全体的にそうだけど、そういう話をするときに、途中で小芝居が入るときあるじゃん。あれをちゃんと再現してるんだよね。
能町 でもうんこである必要は、まったくないですよね(笑)。
久保 まったくないんだけど、でも私はいろいろ出てくるうんこの話がすごく……。
ヒャダ うんこは出てくるものですよ(笑)。
久保 ああいうとき、私はスカッとして……。
ヒャダ うんこはスカッとするものですよ(笑)。
久保 ああいう小芝居のくだりを見てると、朗読劇というか、演劇的に見えたんですよ。これを朗読劇として再現したらいいのでは……って誰もやらないだろうし、自分でもやらないんだけど。演劇的な終わり方だなと思ったのは、「助けてボタン、押せますか?」の回。最後に私が「消えるボタン」を押したら消えなくて、そのときの能町さんのセリフが良かったんだよね。
──いざというとき、人に助けを求める「助けてボタン」を押せるかという話をしていたら、久保さんが「消えるボタンのほうを押したい」と言い出して。
——(引用はじめ)——
久保 勝手に一人で逝くのはなしにしようと思ってます。思ってますけど、「消えるボタン」があったらそっちのほうを押しちゃいそう。
能町 ダメです。押すのは「助けてボタン」にしてください。
ヒャダ こうすればいいんですよ。「おばあちゃん、これが消えるボタンよ」って渡しておいて……。
久保 「消えたくなったら押してね」つって。「あいよ」ポチッ。
ヒャダ そしたら助けに駆けつけます。
久保 「あれ、消えない? 消えないよ?」
能町 消えさせませんよ。
(TALK-30「助けてボタン、押せますか?」より)
——(引用おわり)——
久保 私が「消えない? 消えないよ?」と言ってるところに、能町さんが「消えさせませんよ」と言って、このあと暗転ですよ(笑)。
一同 (笑)
ヒャダ 間は大切ですね。
久保 そう。私はここにすごく演劇を感じた。自分たちでも、この会話がどこに行くのかわからずにずっとしゃべってるから、「この会話の流れでそこに行けるんだ」というのは、グルーヴ感あるし、演劇的に面白いなと思った。脚本を考えるやり方だと、ここにはたどり着けないと思うから。
突然、演劇が始まるのは通常運転
『カウンセリングするつもりじゃなかった~久保みねヒャダこじらせ雑談~』 楽屋裏トーク満載! |
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