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スピードワゴン小沢が驚いた『闘将!! 拉麺男』…スピンオフ漫画の変遷を大研究

 ここ数年、誰もが知る有名漫画のアナザーストーリーを描いた“スピンオフ漫画”が激増し、すっかり定番ジャンルとなっている。そのブームはどこから発生し、どう拡大していったのか。  自宅に2000冊、Kindleに1000冊以上のコミックを持つスピードワゴン・小沢一敬と、サラリーマン漫画研究家の真実一郎が語り合う。

一大ブームと化したスピンオフ漫画の変遷を大研究!

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スピードワゴン・小沢一敬×サラリーマン漫画研究家・真実一郎

小沢:最初に読んだのは、『キン肉マン』のスピンオフ作品『闘将!! 拉麺男』。敵が仲間になって戦うパターンもこれで初めて見たし、子供心に「漫画って、こういうことやってもいいんだ!」って驚いた。 真実:昔のスピンオフって、脇役が活躍するのが典型でしたよね。でも、今のブームの火つけ役は、『賭博黙示録カイジ』では帝愛グループの幹部でカイジの大敵、利根川を主人公にした『中間管理録トネガワ』なんですよ。 小沢:『闘将!! 拉麺男』じゃないの!? 真実:ルーツはともかく、ここ数年のブームとしては『トネガワ』がきっかけなんです。この漫画から広まった共通項もあるんですよ。「アシスタントが作画」とか、「原作へのツッコミ」とか。アシスタントが描くのは実はメリットがあって、原作者が描いたわけではないから、企業コラボに使いやすいんです。『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』は日清食品とコラボしてました。 小沢:いわゆる「案件もの」ね。 真実:で、僕は『トネガワ』が大好きなんですよ。本編よりも好きですね。 小沢:でも『カイジ』とは違って、『トネガワ』では利根川がかわいくなっちゃってるじゃん。 真実:そこに感情移入するんです。若い頃は『アカギ』みたいな、自分と全然違うキャラが主人公の漫画を読んで楽しんでいたけど、今は自分が本業では中間管理職で利根川的な存在なので、「部下にも上司にも気に入られないといけない」という板挟みの感覚、よくわかるんです。単なるギャグとしては読めない作品。 小沢:今、『アカギ』が出たけど、これこそスピンオフの代表作じゃない? もともと『天』のキャラだったアカギが主人公なんだから。話はそれるけど、『天』の最終巻はアカギの生前葬で、一切麻雀は打たないんだけど、俺はこの話が「人生の大切な10冊」に入れたいくらい大好きで、俺の人生観にも影響を与えてる。 真実:『トネガワ』のヒットの前にも『アカギ』を出してるわけですから、福本先生はすごいですよね。 小沢:夏に福本先生と多摩川でバーベキューをしたんですよ。そしたら、先生が川を見ながら突然「1000万円あげようか?」って言うの。「10kgの重さの1000万を背負って、川を渡りきったらあげる……って、こういうゲームのアイデアどうかな?」って聞いてきて。 真実:本当にやったのかと思った(笑)。 小沢:あの人は常にそんなことを考えてるの。川を見ながら「ここでどんなギリギリのゲームができるか」って。 真実:目線が帝愛の会長ですよね。
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今や「キャラの強さ」はスピンオフの条件ではない
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