資料を作ったら一度は音読すべし?
川崎:あとは書籍内にテンプレを使ったサンプルスライドを載せているんですが、これもかなり作り込んでいます。
明石:確かに各スライドごとにテキストの口調などを変えていて、資料のトンマナ(様式や雰囲気)がわかりやすい。実はこれって結構重要なんですよ。資料作成における一貫した雰囲気とかゴールが見えてると資料作りって進み方が全然違う。
川崎:音読されても耐えられるくらいの作り込みにしてあります(笑)
明石:音読と言えばうちにプレゼンが通る確率が8割以上のヤツがいるんだけど。
川崎:かなり通過率高いですね。
明石:彼が言うには「資料ができたら一旦音読するのがコツ」なんだとか。そうすると自分の強調したい部分というのがはっきりわかるようになるから。
川崎:よりブラッシュアップされるってことですね。この書籍に掲載するためのサンプルスライドも、私自身通しで何度も読んで推敲しました。
明石:ちなみに、僕の特技のひとつに「初見のパワポ資料であたかも自分が作ったかのようにスラスラとプレゼンをする」というのがあります。
明石:『フォートナイト』って知ってます?
川崎:オンラインでみんなで戦うやつですよね。サバイバルバトル的な。
明石:あれって生存率を上げるのに何が大事かというと、最初にどれだけ強い武器を拾うかなんです。
友人に麻野耕司さん(ナレッジワーク代表取締役)という有名な起業家の方がいるんですが、「パワポはフォートナイトでいえば強い武器」とおっしゃっていて。いい資料をつくれるようになるということは会社全体の戦闘力が上がるということなんですね。
川崎:「パワポ=武器」!
明石:だからもう、経営者たちはこの本を会社で配るべき。全体の効率や生産性が上がるから。
川崎:めっちゃアピールしてくれてる(笑)。でも確かに「資料作り」というのが単なる「こなす作業」みたいに思われてますよね。
明石:そう。ちゃんとしたものを作れば「強力な武器」になるわけで。
川崎:確かに。そう考えるとパワポはまだまだ過小評価されてる気はしますね。
デジタルプレゼンとか、他のツールでのプレゼンも増えてるけど、紙として出力する習慣もまだまだ残っている。A4に刷ったときの見えやすさだとパワポは強いのではと思っています。
明石:確かに。「A4」が死なない限り、パワポも死なない(笑)。
明石ガクト
1982年生まれ。静岡市出身。上智大学卒。ショート動画広告を手掛けるワンメディア株式会社代表取締役。最新の著書『動画大全』(SBクリエイティブ)は韓国・台湾でも出版決定
川崎紗奈
コピーライター/UXリサーチャー。早稲田大学卒業後、株式会社電通入社。入社以来、コピーライターとして国内外多数の企業の広告クリエイティブ制作に従事。主な受賞歴に朝日広告賞/審査員賞、ACC賞ゴールドなど
取材・文/SPA!編集部 撮影/宮下祐介