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外国人旅行者が“子供の頃から憧れていた”日本で「感動したこと/残念に感じたこと」

各地での撮影禁止にがっかり

スーパー戦隊ヒストリー

写真の撮影がOKだった京都の東映太秦映画村の「スーパー戦隊ヒストリー」にて(写真:ハファエル・ヒベイロさん提供)

ふだんは学校に勤務しているヒベイロさんは、動画の編集と公開に追われるYouTuberではない。それでもブラジルで特撮ドラマの同志を増やしたい心意気を携えて各地で動画の撮影を行った。 「残念だったのが多くの施設やイベントで『撮影お断り』だったことです」 東京ドームシティに見に行った「王様戦隊キングオージャーショー」でも撮影できず、イベント専属のカメラマンが撮った写真を購入するしかなかった。 ブラジルではコンサートや展覧会など多くのイベントでスマートフォンでの撮影が許可、黙認されている。InstagramやYouTubeなどで情報が迅速かつ広範に拡散される時代にあって、映像や写真の撮影を規制するよりも、逆に許可することでアーティストやイベントを世界に広めるべきなのでは?とヒベイロさんは語る。

ショッカーO野さんと歩いた新宿

ショッカーO野さん

新宿の特撮ロケ地を案内するなど至れり尽くせりだったショッカーO野さん(写真:ハファエル・ヒベイロさん提供)

訪日の目的は聖地を巡るばかりではなかった。 特撮番組の関係者にインタビューを行い、ブラジルでは得難い真実の情報を確かめるのも目的だった。ヒベイロさんはジャーナリストではない。それでも訪日前にアポが取れた複数の関係者が、英語の通訳者を介した取材に応じてくれたそうだ。 なかでも2023年大晦日に長時間付き合ってくれたショッカーO野さんには感謝しきれないという。芸名を故石ノ森章太郎さんより直々に授かったショッカーO野さんは司会、構成作家、ラジオパーソナリティーあるは特撮番組のスーツアクターなど様々な仕事をこなすマルチタレントだ。 「場所は新宿で」とのショッカーO野さんからのリクエストに応えてレンタルした会議室で、ヒベイロさんはブラジルで出版された特撮ヒーロー辞典を開きながらインタビューした。話が盛り上がるにつれ、二人はときに特撮ヒーローに疎い通訳者を頼らず、専門用語を交わすことで理解し合えたそうだ。 「ところで今晩の年越しの予定は?」 3時間の取材の後にショッカーO野さんにたずねられると、単身、渋谷スクランブル交差点で過ごす予定だと素直に打ち明けた。 「だったら僕と一緒に『慎ちゃんねるのゆく年くる年』に行かない?」と誘われた。それは「仮面ライダーAGITO」「重甲ビーファイター」「救急戦隊ゴーゴーファイブ」などの主題歌を歌った歌手の石原慎一さんの年越しミニコンサートだった。 石原慎一さんはブラジルのアニメフェスで歌った経験があり、ブラジルの特撮ファンの熱量を知っている。「一人だったらいいよ」とショッカーO野さんの直電でヒベイロさんの招待券が用意された。 新宿は横浜に劣らぬ特撮ドラマのロケ地だそうだ。自身が司会を務めるミニコンサートまでの6時間、ショッカーO野さんはヒベイロさんに近辺のロケ地を案内し、夕食を共にしながら特撮裏話を伝授してくれたそうだ。
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夢のような一夜
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