仕事

元ラブホ従業員が明かす、意外な“人間模様”。70代の高齢男性が1人で来店し…

高額時給のバイトを探して見つけたラブホの客室清掃

清掃 楠山裕二さん(仮名)は、学費や生活費を自分でまかなうためバイトを掛け持ちしていたという。 「それまで旅館の清掃、家庭教師、警備員、パン工場などのバイトを経験したのですが、時給が低かったんです。高額時給のバイトを探していたところ、ラブホの客室清掃を見つけて働き始めました」  清掃業務は旅館で経験していたため、不安はなかったと話す。 「面接では、ラブホという場所柄、怖い人が出てくるのかと思ったのですが、店長は優しい方でした。オーナーは女性で、明るくて上品な印象でした。息子さんが医学部に通っているとも聞き、ラブホって、想像とはまったく違う人たちが関わっているんだなと思いました」  一緒に働くスタッフも楽しい人ばかりだったそうだ。

同僚には日本舞踊の先生や料理人がいた

「思い出深いのは、日本舞踊の先生と料理人をしている2人ですね。2人とも兼業でラブホの仕事をしていました」  特に日本舞踊の先生には厳しく指導されたようだ。 「先生は、『清掃はお客様のあとを絶対に残してはいけない』と、髪の毛1本も見逃さず、指紋が残りそうなところはアルコールでピカピカに拭きあげます。鏡や水道の蛇口やシャワーヘッドに至るまで丹念に磨き上げました」  楠山さんは、「旅館の清掃でもここまではしていなかったので、勉強になりました」と振り返る。  ラブホの清掃員は客に姿を見られてはいけないため、部屋から部屋への移動は忍者のように隠れ、息を潜めながら行動することが求められた。「それが楽しい思い出です」と楠山さんは言う。  また、ラブホにも業界用語があるようで……。 「例えば、“特掃”や“本掃”という言葉がありますね」  特掃とは、部屋の回転率が少ない日に隅々まで念入りに掃除すること、本掃は汚れたところを集中的に掃除することだそうだ。 「ちなみに“軽掃”は、浴室の使用がなかった場合にチェックのみを行うことを言います。浴室は意外と清掃時間がかかるので、軽掃でいいときは助かりました」  風呂を使用しない人がいるのは意外かもしれないが、実際に “浴室未使用”というケースも少なくなかったとか。 <取材・文/資産もとお>
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