更新日:2024年10月30日 16:21
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現役自衛官が、闇バイトで強盗犯になるまで「クリスマスに遊ぶマネーがほしいです」

「クリスマスに遊ぶマネーがないです」

 裁判では、検察側によって、中桐とミツハシが通話アプリ「テレグラム」を介して行ったやりとりも再現された。そこから、あまりにも無防備に闇バイトに足を踏みこんでいく中桐の姿が浮かびあがる。
第10章_今村ヘッド

「ルフィ」「キム」「ミツハシ」などの名を使い分けていたい指示役の今村磨人

中桐「クリスマス遊ぶマネーがないです」 ミツハシ「仕事あるから心配ないよ」 中桐「すぐありますか。仕事が中毒です」「今ばりばりほしいです」 (読売新聞2023年7月26日付から筆者が再構成)  リサイクルショップ強盗の運転手役を持ちかけられた際のやりとりでも、犯行を前にした戸惑いや罪悪感は読みとれない。 ミツハシ「店舗の見張りと当日のドライバー。成功報酬50万円」 中桐「どこを襲うんですか」 ミツハシ「千葉の買い取り店」 中桐「お金奪って安全運転で終わるやつですかね」「安全運転で頑張ります」 (読売新聞2023年7月26日付から筆者が再構成)

実行犯の故郷·三重県松阪市の家族を訪れると……

 筆者が中桐の故郷を訪れた2023年末は、判決から約5か月後というタイミングだった。松阪駅からは車で1時間半ほどの距離。三重県松阪市内の中心部から奈良県境に向かって片側1車線の国道を走りだすと、やがて車線を分けるセンターラインは消え、何本もの巨大な丸太を牽引したトレーラーと道路幅ギリギリですれ違うようになる。    中桐の故郷は、主要産業の一つが林業という山間部にあった。  周辺は、急峻な山々に挟まれた渓谷である。国道から枝分かれした道を折れてさらに車で山中に進むと、ところどころに開拓された棚田や里山が現れ、集落が形成されている。  90戸ほどが集まったNという集落で、中桐は高校時代まで過ごしている。  前夜に愛宕町のスナックで耳にしたとおり、取材に訪れた「部外者」に対して、集落の人々の反応は冷たい。周辺取材をするなかで、中桐の親類だという女性宅を見つけて、玄関のチャイムを押したときは次のように言われた。 「ここの地域はもともと静かなところですので、(中桐が起こした事件に関しては)もうほとぼりが冷めてきているわけです。それなのに、私がまた語るということはできません。残念ですけれど、協力はできません」  言葉遣いこそ丁重だが、その態度や筆者に向けられた視線は侮蔑に近いものだと感じた。女性が語った「ほとぼり」とは、次のような出来事を指すのだろう。
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家族の人生も狂った「闇バイトの代償」
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『週刊SPA!』誌上において、特殊詐欺取材に関して、継続的にネタを追いかける精鋭。約1年をかけて、「ルフィ」関係者延べ百数十人を取材した

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